長友さんのブログ

 長友さんは48年間、デザイン会社K2を経営した。朝サン(朝の散歩)は20年間、やっていた。ブログは10年間、欠かさず書いていた。ブログに出てくる話題を見ると、首位は朝サンについてだ。2位は食事の話。3、4、5位がゴルフ、美術鑑賞、仕事の話。

 政治、経済、グローバルな話題はまったくない。トランプ大統領も習近平もチャーチルもヒトラーも出てこない。

 歩いて、ゴルフをして、絵や工芸やデザインを見て、どこかの店で食べて、人と会って、仕事をして……。長友さんは屈託のない人生を送った。

「野地くん、僕のブログを毎朝、箸を握って読んでいるという人がおる。なんでもブラジルに住んでいて、日本食があまりにもおいしそうで、たまらんと言うんや…」

 だから、ブログはやめられないと言っていた。

「自分(=相手のこと。関西弁)も、ブログ、やってみたらええんやないの」

 いえいえ、遠慮しますと答えたのは、長友さんのような幅の広い生活をしていないからだ。ブログを書いたとしても、単調ですごくつまらないものになるのは目に見えている。長友ブログが面白いのは生活が豊かで、奥が深く、毎日、刺激に満ち溢れていたからだ。

 そして、長友ブログは文章もさることながら、写真がよかった。特に料理写真がチャーミングな出来だった。そんじょそこらの料理カメラマンよりも、おいしそうに撮れていたので、「どうやっているのですか?」と訊ねたところ、「ホワイトバランスの調整やな」とデザインのプロらしい意見が返ってきた。

「写真の出来は料理に対する愛だ」みたいな、安っぽいことを言わないところが長友さんでもある。