日本や韓国にとって、トランプ政権との貿易交渉はたいへんな負担だ。今後しばらく、内政と外交の両面で最大の課題となる可能性をはらんでいる。

「開戦前夜」の空気さえ漂う中で
副大統領の日韓歴訪は演出の効いたもの

 だがそれにしては、世論の反応は淡々としている。理由はいくつかあろうが、トランプ政権が今月8日に発した「カールビンソン急派」の報が、人々の目を北朝鮮に釘付けにしたことも一因と言えるだろう。

 周知のとおり、米原子力空母カールビンソンを中心とする空母打撃群は、実際には朝鮮半島に「急派」されたわけではなく、インド洋での演習に向かっていた。国防総省とホワイトハウスの間に連絡ミスがあったとされる。そのため、当初の報道では4月中旬にも北朝鮮近海に展開するとされていたが、実際の到着は25日頃になるという。

 そのことが判明したのは奇しくも、ペンス氏が韓国と日本での日程を終えたタイミングでのことだ。トランプ政権が狙ってやったとは言い切れないが、「開戦前夜」の空気さえ漂う中での米副大統領の日韓歴訪は、実に“演出”の効いたものだった。

 朝鮮半島の軍事的緊張の根本的な原因が、北朝鮮の核・ミサイル開発の暴走にあるのは言うまでもない。だが、少なくとも今回に限っては、「緊張の場面」を作ったのは米国の側だったと言える。

 北朝鮮の金正恩労働党委員長は普段、いつ、どこへ行くかを事前に公表しない。しかし北朝鮮の国営メディアは3月22日の時点で、4月11日に最高人民会議(国会)が開かれることを予告していた。この場に、正恩氏が参加しないはずはない。さらに4月15日は、祖父である故金日成主席の生誕105周年で、その記念行事に正恩氏が現れることも容易に想像できた。実際、正恩氏はこの日の軍事パレードに姿を見せたほか、2日前(13日)に行われていた平壌市内のニュータウン「黎明通り」の竣工式にも参加した。

 このようなタイミングで、米空母打撃群が北朝鮮近海に展開すると思われていたのである。トランプ政権は、シリアの化学兵器使用疑惑に対して電撃的に「ミサイル懲罰」を行ったくらいだから、北朝鮮に対しても何をするかわからない――。これが、今回の緊張の下地となったわけだ。