グローバル化を示す経済指標は何だろうか。ここでは、地球規模のヒト、モノ、カネの移動量が、何年頃を境にそれ以前と次元の異なるレベルに達したかという点に着眼しながら、グローバル化の進展を示すいくつかの時系列グラフを掲げることとする。

1990年代に急拡大した
ヒトの世界的移動

 ヒトの移動に関しては、国際的な人口移動者数(移民数)や国際旅行者(観光客)数が指標として考えられる。世界全体の長期推移が手軽に得られる前者の指標を見てみよう。

 国連は、2年ごとに行っている世界の将来人口推計の際に、将来人口推計の前提条件の1つとして、国外との流出入人口についての各国の過去の実績をまとめているが、このデータはこれによるものである。流入から流出を差し引いた純流入数なので、先進国地域ではプラス、途上国地域ではマイナスとなっている。各地域内の国家間の流出入は相殺されている。

◆図1 グローバル化:ヒトの移動の拡大


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 先進国への純流入(年平均)は1980年代までは100万人台前半のレベルであったが、1990年代前半には一気にそれまでの2倍以上の250万人を越えるレベルへと急拡大している。直接のきっかけは、ベルリンの壁崩壊(1989年)、ソ連崩壊(1991年)、ユーゴスラビア解体(1992年)といった東西冷戦体制の終焉を告げた諸事件だ。これらに伴って、東欧を含む途上国から先進国への人口移動のレベルが、まるで断層のように拡大を示したのである。