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デジタルの力で、製造業がサービス業に
なるための重要な過程とは

内山悟志 [ITR代表取締役/プリンシパル・アナリスト]
【第68回】 2017年5月12日
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データ分析によるさらなる高度化

 各種センサーやIoTにより設備機器からネットワークを介してさまざまなデータを取得することが可能となった。これらのデータにより設備機器の稼働・運転の状況や性能・不具合などに関する状況を刻一刻と知ることができる。こうしたデータは、異常検知や修復のためにその場でリアルタイムに活用されるだけでなく、その稼働履歴や修復履歴をビッグデータとして蓄積することでより高度な活用が可能となる。こうしたデータを分析し、異常や予兆の検知精度の向上、不良原因の解明、不良発生時期の予測などに活用することができる。また、その結果は定期保全のスケジューリングにも反映することができる(図2)

 将来的にはAIの活用により、過去の症状や対応履歴から最善の修復方法を選択したり、一連の稼働実績や検査結果から障害の予兆を自動検出し、その対応パターンを自動的に学習し、自動的に修復したりするといったことも考えられる。また、ロボティクス技術を組み合わせることで、危険な場所や人の手の行き届かない場所での修復作業を代替するといったことも可能となってくるだろう。AR/VR技術を活用して、遠隔地からでもあたかも現地で行うのと同じ修復が可能となるかもれない。

製造業のサービス業化を促進する

 設備機器の予防保全・予知保全/遠隔修復・自動修復は、従量制課金やProduct as a Serviceへの対応にも寄与し、製造業のサービス業へのシフトを後押しすると考えられる。逆の見方をすると、従量制課金やProduct as a Serviceを実現するには、製品や設備機器の稼働状況を正確に把握しておかなければならず、不具合や故障によってサービスを中断することは許されないため、予知保全や自動修復は必須の前提条件となることを意味する。また、シェアリングエコノミーに代表される新たなビジネスモデルの実現においても、欠くことのできない要素となるであろう(本連載第62回「IoTとシェアリングエコノミーが同時に急拡大するのは、偶然ではない」)。

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内山悟志
[ITR会長/エグゼクティブ・アナリスト]

うちやま・さとし/大手外資系企業の情報システム部門などを経て、1989年からデータクエスト・ジャパンでIT分野のシニア・アナリストととして国内外の主要ベンダーの戦略策定に参画。1994年に情報技術研究所(現アイ・ティ・アール)を設立し、代表取締役に就任。2019年2月より現職。


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日々進化するIT技術をどうやって経営にいかしていくか。この課題を、独立系ITアナリストが事例を交えて再検証する。クラウド、セキュリティ、仮想化、ビッグデータ、デジタルマーケティング、グローバル業務基盤…。毎回テーマを決め、技術視点でなく経営者の視点で解き明かす。

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