「ABC」から
始めてはいけない理由

 あなたのお子さんが、今日から英語を始めるとします。
 単語と音読にすぐに取りかかります。

 決して「ABC」から始めてはいけません。
 そこから入ると、出口がありません。
 いつまでも、何年も初歩レベルを繰り返すはめになります。
 そんな親子が私のもとにたくさん救いを求めてやってきます。

 では、何から始めるのか?

 単語の暗記と、英語の音のモノマネです。

「難しい」「難しくない」にフォーカスをあてていない子どものピュアな感性で英語を学ぶには、ホンモノに触れさせるのが一番!

 単語帳は、絵がついた、文字の大きいものではありません。
 私が本書で紹介している単語帳のような、英語と日本語の文字のみの単語帳です。

 え、子どもに文字だけ読ませるなんて。
 実物があったほうが覚えやすいのに……。

 わかりました。
 では、開始後1週間は絵で覚えましょう。
 または実物で示しましょう。

 でも、そこからは、英語と日本語だけで大丈夫です。
 親が賢かろうとそうでなかろうと、まず、子どもの実力を信じます

 単語帳を開始するときは、
 子どもではなく、親には次のような覚悟がいります。
 イメージしましょう。
 うちの子は、単語を1万語も2万語も覚えて、あらゆる英文が読めるようになる。そこから興味関心が出てきて、好きなことを夢中になってするようになる。

 世界のどこにいても、人の役に立ち、しっかり生きていける人間になる。

 うちは、英語はお遊び感覚ですからと、ABCやゲームばかりやる児童英語教室に行かせていると、親に覚悟は不要です。

 なんとなく英語に慣れてくれればいい、
 親がそんな気持ちでいたら、子どもはまったく英語に慣れません。
 単語力も読解力も、英語コミュニケーション能力も育ちません。

 音楽で言うと、

 国際バイオリンコンクールの課題曲は、技術的に難曲ばかり。
 理解力も相当必要です。

 でも、世の中には、
 そんな難曲の数々をなんなく弾きこなす7歳児や10歳児がいます。

 かと思えば、
 うちの子は7歳、まだ「きらきら星」の音程が取れなくて必死にさらっている。

 ということもあちこちで聞きます。