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1億円以上を稼ぐ新人作家も相次ぎ誕生!
侮れないアメリカの電子“自費”出版ブーム

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第150回】 2011年6月24日
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 しかも、作家が得る収入は、自費出版プラットフォームを使ったほうが多くなる可能性がある。現在、出版社を経由すると作家自身に入ってくる印税はアメリカでは平均15%と言われる。12.99ドルで電子書籍が売り出されるとして、作家の手元に来るのは1.95ドル足らず。一方、自分で価格を設定できる自費出版プラットフォーム、たとえばキンドルDTPで9.99ドルと設定すれば、印税は70%にもなる。そうすると、作家に入ってくるのは7ドル近く。この違いは大きい。

 たとえもし、格安の2.99ドルで売ったとしても、2.1ドル。わずかな違いとは言え、自費出版プラットフォームで売られる格安の電子書籍は、いったん火がつくと飛ぶように売れる場合もあり、数セントの違いも積もり積もって大きなものになるのだ。

 もちろん、出版社が担っていた編集作業やマーケティング力は簡単に無視できるものではない。だが、すでにペーパーバックになっているような既刊の作品については、出版社の力を借りる必要もない。それを鑑みて、こうした方法で電子書籍出版に踏み切る作家も少なからず見られるようになってきた。

 自費出版プラットフォームは、人気作家、素人作家両方にとって気になる存在になっているのは確かだ。日本でも自費出版のプラットフォームはボチボチと出てきているようだが、弱点は電子書籍を扱う大きなオンライン書店や圧倒的にメジャーな電子書籍リーダーがまだ存在しないことだろう。これではまだ、電子書籍のうまみが自費出版で十分に活かせない。

 末端までのエコシステムが整って初めて、自費出版も電子時代の新しい姿に脱皮できる。アメリカではすでに、この大きなうねりが起こり始めている。

世論調査

質問1 電子自費出版は、既存メディアの存続を脅かす存在になるか?



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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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シュンペーターの創造的破壊を地で行く世界の革新企業の最新動向と未来戦略を、シリコンバレー在住のジャーナリストがつぶさに分析します。

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