2012年に創業140周年を迎える資生堂。ここ数年、中国事業を急成長させ米国では自然派化粧品大手のベアエッセンシャル社を買収するなど、グローバル化を着々と進めてきた。しかし、足元の国内事業は、売上高も営業利益も減少傾向に歯止めがかからない。この難局に前田新造会長からバトンを託された末川久幸社長は、はたして国内事業を立て直すことができるか。(「週刊ダイヤモンド」編集部 前田 剛)

インターネットの普及によって入手できる情報が多様化し、メーカー発信の情報だけでなく消費者が発信する口コミ情報も、製品選択に大きな影響を及ぼすようになっている

 880万件を超える口コミが寄せられる化粧品・美容の総合ポータルサイト「@cosme(アットコスメ)」。月間ページビューは2.7億を誇り、女性の化粧品選びには欠かせない超人気サイトだ。同サイトの口コミによる評価を基にした「コスメ総合ランキング」で、総アイテム数20万点の中から5月12~18日の週間1位に輝いたのは、100円ショップのザ・ダイソーの「エバビレーナ アイブローコート」(眉マスカラ、税込み105円)だった──。

 人気の理由は、価格が安いからだけではない。「汗をかいても眉が夕方まで消えない」と機能面でもユーザーの高評価を受けている。一方、同じ眉マスカラの週間ランキングで、資生堂の製品は30位以内に一つもランクインしていない。「ここ数年、景気低迷でコストパフォーマンスを求めるトレンドが強くなっている」(山田メユミ・@cosme主宰)。

セルフチャネルでトップブランドの「肌研(ハダラボ)」(下段)に資生堂「専科」(上段)は追いつけるか

 東京・渋谷の大手ドラッグストアチェーン店。基礎化粧品コーナーのど真ん中で大きく棚を占拠しているのは、ロート製薬のスキンケア化粧品「肌研(ハダラボ)」だ。いまや、ドラッグストアに量販店を加えたセルフ(店頭でカウンセリングを受けずに自分で手に取って購入する)チャネルは、化粧品販売の40%を占める。ハダラボはその最大の販路で、押しも押されもしないトップブランドとなっている。年間売上高は136億円と、大手化粧品メーカーの主力ブランドに匹敵する。

 対する資生堂は昨年、セルフチャネル向けの1000円未満の低価格ブランド「専科」を投入したものの、明らかに出遅れている。

 国内化粧品メーカー最大手であるはずの資生堂の存在感は、なぜかくも薄れているのか。