【必読ポイント!】 
◆企業としての強み
◇喫茶店が一部上場できた秘密

 コメダは2016年に東証一部上場企業となった。50年前に名古屋で始めた小さな喫茶店が、なぜ上場企業にまでになったのだろうか。

 コメダ珈琲店の運営会社であるコメダホールディングスの臼井社長は、セガやマクドナルドの経営経験があるプロの経営者だ。コメダは周辺人口が数万人もいれば成り立つ業態であることもあり、近年出店攻勢をかけている。中部地区は、すでにマクドナルドより店舗数が多くなったので、東日本と西日本に対して出店を加速させている。また、東証一部に上場することで、コメダブランドを広め、優秀な人材を確保しようとしている。

 さらにコメダは人材育成にも力を入れており、店舗で働く社員に向けた研修は、なんと70日間もかけている。一般的に研修期間は3週間程度なので、3倍以上の時間をかけて教育を行っているのだ。研修は基本研修と実施研修に分かれており、基本研修後の検定に合格しないと実施研修に進めない厳しい制度だ。コメダの店舗理念である「くつろぐ、いちばんいいところ」を実現するための長期研修なのだという。

 コメダの店舗数のうち、実に98%がフランチャイズチェーン(FC)店だ。直営店はわずか2%しかない。スターバックスの大半が直営店なのと比べると、大きく異なっている。これは直営店を出店するより出店コストを抑えられるので、一気に店舗数拡大が可能だからだ。FC店オーナーのリスクは大きいが、代わりに権限も強い。中央集権的な本部主導ではなく、地域特性や立地によって現場の創意工夫が可能な点もコメダの強みだといえる。

◇創業者が語るコメダらしさとは

 コメダの創業者、加藤太郎氏に著者はインタビューを行い、コメダ珈琲店のあゆみを語ってもらっている。「珈琲所コメダ珈琲店」は、1968年に名古屋の下町で開店した。最初は本格的なコーヒー専門店をめざし、1杯ずつ手で淹れていた。しかし複数の店を開店させ、「シロノワール」が人気になってからはコーヒーマシンを導入。名古屋ではごはんモノを出すレストラン喫茶が流行っていたが、差別化のためにパンメニューを充実させていった。

 名古屋は喫茶店の激戦区だったので工夫を凝らし、従来にはなかった長靴型グラスでクリームソーダを出して人気の喫茶店になっていく。加藤氏は、繁盛店をつくるには、経営側の立場から考えるのではなく、お客さんの立場から考えること。他店より魅力のある点を1つでも増やすことが重要であり、それほど難しいものではないと語る。飲食のボリュームが多いとか、座席が落ち着けるというような独自性を出して、地道に続けていれば常連客が増えていくそうだ。