コメダは喫茶業だが、その本質は「貸し席屋」にあるという。企業の応接間や自宅の居間代わりに利用されているのだ。通常のコーヒー店は、固い椅子で座席の回転率を上げ、利益を得ようとしている。しかしコメダはその逆に、心地良い空間にしようと試行錯誤した結果、今の業態になり成功したのだそうだ。

 コメダが拡大して300店を超えると、創業者の加藤氏はコメダを投資会社に売却した。これは企業規模が拡大したため、本部組織を整備する必要があったが、加藤氏は組織をつくるのが苦手だったことが理由だという。現在、加藤氏は息子と共に投資会社を経営しているが、コメダの幹部は今でも加藤氏にもとに通っているそうである。

一読のすすめ

 本書は、スターバックスなどとは真逆のレトロな喫茶店「コメダ珈琲店」が、なぜ人気急上昇なのかを探った本である。街の小さな喫茶店から身を起こした創業者が、どんな工夫を積み重ねてきたのか、そしてどんなサービスで差別化を図ってきたのかがよくわかる。写真が多く掲載された本書を読めば、コメダ珈琲店の溢れるような魅力を感じ、店に行きたくなるに違いない。

評点(5点満点)

著者情報

高井尚之(たかい・なおゆき)
経済ジャーナリスト・経営コンサルタント

 1962年名古屋市生まれ。(株)日本実業出版社の編集者、花王(株)情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。出版社とメーカーでの組織人経験を生かし、大企業・中小企業の経営者や幹部、担当者の取材をし続ける。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆多数。2007年からカフェ取材も始め、テレビやラジオの放送メディアでも解説を行う。著書に『カフェと日本人』(講談社)、『「解」は己の中にあり』(同)、『セシルマクビー 感性の方程式』(日本実業出版社)、『なぜ「高くても売れる」のか』(文藝春秋)、『日本カフェ興亡記』(日本経済新聞出版社)、『花王「百年・愚直」のものづくり』(日経ビジネス人文庫)などがある。

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