安倍首相の失態をあげつらう限り
民進党のブーメラン体質は治らない

 自民の議員にあてはまる問題は、たいがい民進の議員にもあてはまる。その現実から目をそらして、どういうわけか自分たちだけは「清く正しく美しく」だと思い込んでいるところに、民進党ブーメラン大量生産問題の本質がある。

 これまで振り返ってきたように、今治市の「獣医学部新設」は10年近く前から地元では水面下で進められてきた構想であり、その「地ならし」に民主党が大きな役割を果たしたのは明らかだ。「安倍首相がゴルフ仲間に頼まれてサクッと規制緩和を進めた」というストーリーは、ワイドショー的には「第2の森友学園」なんて感じでもてはやされるが、それが「民進党いいね!」に結びつくわけではないのだ。

 今回の「流出文書」のなかで、「官邸の最高レベル」というニュースで繰り返しリピートされた言葉の少し前に、実は「成田市ほど時間はかけれらない」という表現があることは、あまり知られていない。これはこの4月、38年ぶりに医学部新設となった国際医療福祉大学を指している。こちらも「国家戦略特区」の指定を受けて進められたものだが、医学部新設に反対する医師会の抵抗や、文科省の「岩盤規制」に阻まれ、13年に成田市が手を上げてから4年かかってどうにか開校にこぎつけた。

 そもそも「国家戦略特区」は13年に安倍政権になってから成長戦略の柱として掲げてきたが、遅々として進まず、マスコミにコケにされ続けてきた。だから、政権のメンツのためにも、「成田市ほど時間をかけられない」のである。

「週刊文春」で文部科学省前次官がこの文書を「本物」だとした。筆者もそう思う。しかし、「成田市ほど時間をかけられない」という言葉の背景にある事情を鑑みれば、「総理のご意向」は蓮舫さんたちが主張しているようなことではないのだ。

 そしてもう想像がつくだろうが、この医学部新設ということを言い出したのも、やはり民主党政権である。日本医師会が大きな支持基盤である自民党にとって、医学部新設はご法度。その「タブー」を破ってくれたのが、民主党政権であり、安倍政権はその遺産を「流用」していると言えるのだ。

「官邸が強引に進める規制緩和は、なにか裏があるに違いない」、と詰め寄るということは、「岩盤規制」に挑んだという数少ない民主党政権の功績に、自ら泥を塗る行為でもある。

 民進党には、そういう「自爆ネタ」をいつまでも追いかけるのはやめて、議員定数削減とか憲法改正問題などの実のある追及をお願いしたい。