マネックスグループ会長兼社長 松本 大<br />米オンライン証券の買収で<br />世界5位以内を目指すPhoto by Toshiaki Usami

──6月8日、米国6位のオンライン証券トレードステーション社の買収を完了した。どんな証券会社なのか。また、その意図は。

 もともとソフトウエア開発会社だった同社は、売買頻度の高いアクティブトレーダー向けのツール開発に定評のあるオンライン証券だ。海外の大手金融機関も自己資金で行う取引で同社のシステムを使っているし、このほかヘッジファンドも利用しているほど優れた開発能力を持つ。

 こうしたトレード社の技術を利用して、米国と中国でもオンラインでリテール証券ビジネスを展開し、収益、利益、顧客数のすべてにおいて世界5位以内に入るオンライン金融グループを目指したい。早くも中国本土の大手証券から引き合いがあり、手始めに中国でシステム子会社を設立、システムインフラの提供を開始したいと思っている。

 かつて米オンライン証券大手のチャールズ・シュワブが日本での事業展開に失敗したのは、母国での成功体験を日本にそのまま持ち込んだからだが、むろん同じ轍は踏まないつもりだ。今回の買収によって社員の過半数が米国籍、収益の3割強が米国事業となったこともあって早速、トレード社のシステム開発幹部を中心に、ボーナスを彼らにとってなじみのある米国流の自社株価連動型に変えたところだ。