『週刊ダイヤモンド』の7月8日号の特集は「ユニクロ 柳井正 最後の破壊」です。ファーストリテイリングは今、会社を抜本的に改革しようとしています。目途がつけば、いよいよ世界一の背中と柳井会長の引退が見えてくる――そういう意味で、今回の改革は柳井会長兼社長にとって「最後の破壊」ともいえます。ところが、改革の拠点である東京・有明の物流倉庫が実は大混乱に陥っています。その混乱の実情を追った他、これまでのファストリの「破壊と創造」の歴史を振り返り、同社の強さの秘密と今後の課題について炙り出しました。
ユニクロの改革拠点
「有明」で起きている大混乱

──東京・有明の物流倉庫を拠点に大変革を行っているとのことですが、狙いは何ですか? 物流改革でもっと在庫管理を徹底するということですか?
柳井 いや、それは一現象です。今後、われわれのビジネスは(実店舗を中心としたビジネスだけでなく)eビジネスも主力業態となる。それに、スポーツ業態とも競合してくるでしょ。
つまり、異業種間格闘技みたいになってくる。そうなったときにわれわれがどうなっていないといけないかっていうと、物流や情報システム、商品作りに関わる人たちがみんな一緒に仕事をしていくような企業です。
今の単純な製造小売業(SPA)から情報製造小売業に変わらないといけないんです。まあ、有明は商売の本社みたいなものですね。対して、東京にもう一つある六本木本部は管理の本社。
商売のデジタル化が進むと、有明は本当にグローバルヘッドクオーターにならないといけなくなるんですよ。それには、有明のオフィスにいる従業員約1000人のうち、できたら半分を外国人にして、今有明にいる日本人の半分を海外に持っていくみたいなことをしなければならない。