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カプコンの開発統括トップ、一井克彦専務に聞く
世界市場での闘い方とゲーム業界の真のチャレンジ

石島照代 [ジャーナリスト]
【第20回】 2011年8月2日
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小林裕幸氏(為広麻里氏撮影)

 次に小林ですが、彼はプロデュース畑をずっと歩んできた人で、現在はプロデュース、ディレクションの管轄責任者となっています。代表作は舞台にまでなった「戦国BASARA」シリーズですが、ブランド構築の成功例ですよね。現在は新たな「ドラゴンズ ドグマ」という相当大きなタイトルを手がけていますし、過去にはバイオハザードシリーズも担当していました。

小野義徳氏

 最後に小野。もともと彼はサウンド出身ですが、仕事の範囲が非常に広い。たとえば「ストリートファイター」をやりながら、「モンスターハンターフロンティア」というPCオンランゲームも担当しています。あと、小野の場合は半分以上、日本にいないのも特徴ですね。グローバルのビジネスセンスは抜群です。

石島:小野さんは7月21日から、米・サンディエゴで行われた、エンターテインメント総合イベント「Comic-Con(コミコン) 2011」でも大活躍だったそうですね。バンダイナムコゲームスの「鉄拳」プロデューサー原田勝弘さんとの体をはった対決ビデオ放映も、会場では大変好評だったと聞いています。

一井:それは、「ストリートファイター ×(クロス) 鉄拳」(プレイステーション3用、Xbox 360用、2011年冬発売予定)のプロモーションで行われた件ですね。確かに、会場の皆さんの反応は良かったようで、ありがたかったです。

 小野はストリートファイターのファンを喜ばせるためでしたら、今日はフランス、台湾、明日は香港、明後日はシンガポールへ飛ぶような生活をいとわず行えます。今回の「Comic-Con 2011」のように、一日中ユーザーとイベントを盛り上げたりすることは普通ですよ。

石島:ネットで拝見している限りでは、芸人さん顔負けの内容でしたが、そこまでやらねばならない理由はなんでしょうか?

「戦国BASARA クロニクルヒーローズ」(PSP用)

一井:小林の舞台版「戦国BASARA」も同じですが、ファン、もしくはファン同士のコミュニティ作りが目的です。

 私は今後、ソフトタイトルがヒットする際、これまで以上にファンおよびファン同士のコミュニケーションを可能にする場、そしてネットを使ったコミュニティが重要になってくると見ています。

 それは、ゲームビジネスのあり方が変わったことを示唆しています。極端な話を言えば、「1回パッケージソフトを売ったら終わり」と言うのが、今までのゲームビジネスの常識でしたが、世界を俯瞰しますとそんな時代は終わっています。

 そのいい例がDLC(ダウンロードコンテンツ)ビジネスです。日本ではまだ普及していませんが、欧米では売上全体の3割以上を占めることも珍しくありません。この状況が示唆しているのは、コンテンツビジネスの機会は発売後も増加し続けており、長期戦が可能になってきたということです。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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