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任天堂はなぜ「ニンテンドー3DS」を値下げしたか

石島照代 [ジャーナリスト]
【第22回】 2011年8月18日
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 本連載19回でも指摘したとおり、PS Vitaの業界内評価は高い。3DSの値下げを受けて、PS Vitaも値下げ圧力が高まりそうだが、おそらく日本のソフトメーカーの多くは現在のPSPビジネスを引き継ぎたいので、PS Vitaの支持は変わらないだろう。

 加えて、苦戦しているはずの海外市場での評価も高い。EA Sportsプレジデントのピーター・ムーアも、PS Vitaについては「今まで見た中で最高の携帯機」と絶賛、一方で「‎3DSに250ドルの価値があったら、みんな買っているよ」と発言している。また、ある業界人は3DSのマイナス点として、「PS Vita、Wii U、PS3、Xbox 360はマルチプラットフォーム展開が容易だけど、3DSはそこに入れられない。コストを分散できないのはきついよね」と、マルチプラットフォームビジネスができない点を指摘する。海外はともかく、日本のメーカーであれば、手堅く30万枚クラスのヒットを確保したいというのが、PS Vitaに対する“最大公約数的”本音のようだ。

SNSがこようが、スマホがこようが、
任天堂が携帯系市場で勝つ歴史的理由

 話を元に戻すが、PS2旋風が吹き荒れていた頃、任天堂はどうしていたのだろうか。右の図はゲームキューブが発売された当時(2000~2002年)の国内据置機別普及台数をグラフにしたものである。ゲームキューブの発売台数が、2000年単年のPS2の発売台数より少ないことが読み取れる。ゲーム機ビジネスが長く成立するためには、一つの国か地域で最低でも500万台の普及が必要とされているが、ゲームキューブは3年経っても300万台にすら到達しなかった。

 それでは、任天堂はジリ貧になったのかと言えば、そんなことはない。なぜなら任天堂は「ゲームボーイシリーズ(2001年以降はゲームボーイアドバンスも含む)」で、携帯機市場で圧倒的優位に立っていたからだ。表の一番下にある「GB」と書かれた棒グラフがその状況を示している。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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