宏池会の勢力回復
自民党の派閥バランス様変わり

 もう1つは、今回の人事で「軽武装・経済重視」路線を担ってきた宏池会(現岸田派)、旧竹下派(現額賀派)系統の政治家が多く登用されたことだ。

 岸田文雄政調会長を始め、上川陽子法相、林芳正文科相、小野寺五典防衛相、松山政司一億総活躍相の5人が岸田派、竹下亘総務会長、加藤勝信厚労相、茂木敏充経済再生担当相の3人が額賀派、麻生太郎財務相、河野太郎外相、鈴木俊一五輪担当相の3人が麻生派だ。麻生派も源流は宏池会であることを考慮すると、党内派閥バランスはずいぶんと様変わりした、といえる。

 これがただちに、安倍的軍拡路線vs宏池会・旧竹下派的軍縮・平和外交路線の対立につながるとは思わないが、党内で沈潜していた議論が表面化してくる可能性はあるだろう。

 現に、2020年までに憲法9条を改正すると唱えていた安倍強行改憲路線は風前の灯火になりつつある。支持率や党内の求心力低下から安倍氏本人が持論を取り下げたためだが、安倍政権の失速と共に宏池会的パワーが相対的に回復し、「9条改正というと本格的な権力闘争になる」(古賀誠・前宏池会会長)との“脅し”が効いたこともあるだろう。すでに政界再編の胎動はあちこちで出始めている。

 野田氏取り込み、宏池会復活の兆候…。幕間に今後も様々なことが起きるだろうが、底流に流れている政界再編ドラマの行方にこそ関心を抱くべきだ。

(毎日新聞専門編集委員 倉重篤郎)