結果的には、そうした警戒が的中した形で、韓国政府こそ「勇気を持って」対応するべきではなかったのか。それができていれば、この問題ははるか以前に解決していたはずである。

 また、徴用工の問題についても文大統領は、植民地支配からの解放から70年以上たっても「強制動員の苦痛は続いている」と述べ、南北共同による「強制動員被害」の調査の検討にも言及した。徴用工の問題については、韓国政府も解決済みとの立場であったにもかかわらず蒸し返してきたのだ。

 ここで特に引っかかるのは、「南北共同」でという言葉である。北朝鮮は、強引に核ミサイルを開発し、日米韓を核ミサイルの脅威で挑発している。これに対し、中ロも北朝鮮に対する制裁強化に合意し、国際的な協調体制の下で問題解決に努力しているところである。

 そうした中で、北朝鮮と共同で調査するとは、一体どういうことなのか。日本の歴史問題に対処するため、日韓を危機に陥れている北朝鮮と組んで日本をやり込めようというのか。これを糸口として、北朝鮮との対話を進めるためのきっかけにしようというのか。だとすれば、文政権はあまりにも国際社会の現実を無視していると言わざるを得ない。文大統領の本質は、このようなところにも表れている。

反日行動を黙認ではなく
むしろ支援している

 文大統領の演説は、これまで日韓関係が悪かった時代の大統領のものと比べて、日本に対する直接的な批判に対して慎重になっている点については評価できる。

 しかし、エスカレートする反日活動を黙認するどころか、むしろ支援している点では大きな問題をはらんでいる。ここで言う反日活動とは、できるだけ日本側が嫌がることをやり続け、それによって自分たちの一方的な要求を日本に押し付けようとするものである。

 確かに韓国では、政治家や政治活動団体の反日行動を批判したり、抑制したりすることは難しい。そんなことをすれば、たちまち親日家と批判され、バッシングを受けてしまうからだ。ただ、大統領が日韓関係を前に進めようとする明白な意思があれば、それも可能だ。事実、朴槿恵前大統領の後半がそうであった。

 ところが、文大統領領は反日活動を黙認、さらには慰安婦支援者で反日的な活動を活発化させている鄭鉉栢(チョン・ヒョンベク)氏を女性家族部長官に任命するなど、反日活動の支援者となっている節さえある。

 ちなみに鄭長官は、慰安婦が共同生活をする「ナヌムの家」を訪問、「慰安婦」博物館の建設を検討していることを明らかにしたほか、慰安婦関連資料について、ユネスコ世界記憶遺産への登録を目指すことまで言い出す人物だ。