四つ目は、トランプ大統領にとり国内的困難と対外関係は密接に関係することだ。

 トランプ大統領は就任以来、公約実現のため行動を始めたが、政策意図表明はともかく、現実にオバマケアの改廃や予算の裏付けを得て所得減税・インフラ投資を実現に導くには至っていない。それどころか議会やメディアとの対立、さらにはホワイトハウス内部の抗争も深刻だ。

 北朝鮮問題についても「軍事的オプションを排除せず強さをデモンストレーションし、中国の北朝鮮への圧力強化を図る事により北朝鮮が交渉に出てこざるを得なくする」というシナリオがスムースに動かない。

 この大きな原因の一つは、シナリオを実現する準備や根回しを行う国務省幹部などの実働部隊を欠いていることにある。

 また最近では大統領の人種差別問題への発言に対するへの批判も高まっており、「ロシアゲート」を巡る特別検察官の捜査結果次第では、トランプ大統領が窮地に立たされることも容易に想像し得る。このままいけば、振り上げたこぶしを、本当に下ろさざるを得なくなるといった状況が出てくる怖れを排除することはできない。

 五つ目の理由は「ツイート」と「大本営発表」の“齟齬”がお互いの計算違いを引き起こすことだ。

 北朝鮮は完璧に情報をコントロールし、「大本営発表」を日常的に行い得る国だ。

 その時の必要性が、「北朝鮮核ミサイルの輝かしき進展」であれば、事実かどうかは別に、すべての対外発表や宣伝は巧みに演出される。

 一方で、米国の今の対外的発表ぶりは整合性を欠き、トランプ大統領の「ツイート」は感情の赴くままといった面も目立ち、慎重に練られた発表とは考えられない。他方、マティス国防長官やティラーソン国務長官が柔軟路線をとり、役割分担をしている気配もある。

 しかし北朝鮮の目から見れば、民主主義国の微妙なチェックアンドバランスの動きを理解せず、トランプ大統領のツイートに絶対的な意味を与えてしまう可能性も存在する。

 このように米朝とも必ずしも真実を語っていないにもかかわらず、もし水面下でチャネルが存在しなければ、双方が相手の対外発表を文字通り受け止め、計算違いが生まれる危険性がある。