まず、金融資産、人的資本、社会資本のすべてを誰もがうらやむような水準で持っているひと。ちょっとあり得ない設定ですが、その人生は超充実しているでしょうから、これを「超充」と名づけましょう。

「超充」の資本

 次いでもうすこし現実的に、人的資本と金融資産はあるけれど友だちがいない(社会資本を持たない)タイプ。

 これは「お金持ち」の典型です。「金持ちは孤独だ」とか、「金持ちは金持ちとしかつき合わない」といわれるのは、社会的に成功すると、カネや権力を目当てにいろんなひとが集まってきて嫌な思いをすることが多くなるからです。これは人的資本(恵まれた仕事)と金融資産(じゅうぶんな財産)があれば、面倒な人間関係(親戚や友だちづき合い)を切り捨てても困らない、ということでもあります。その典型が投資家やトレーダーで、私の知り合いにもけっこういます。

「お金持ち」の資本

 それに対して、金融資産と社会資本を持ちながら人的資本がない(働いていない)ひともいるでしょう。イメージとしては、気前よく財産をばら撒いてみんなの人気者になっているという感じですから「旦那」としましょう。

「旦那」の資本

「リア充」「お金持ち」「旦那」と並べてみると、「超充」になれなくても、資本を2つ持っていればそれなりにやっていけることがわかります。

 これを「人生の成功物語」として読むこともできそうです。若いときは「リア充」で頑張って、成功して「お金持ち」になると(仕事が忙しくなって)むかしの友だちとは疎遠になってしまうけれど、リタイアした後は資産を社会に還元する「旦那」になってみんなから慕われる、というように。

 最後は「プア充」と同様、資本=資産をひとつしか持たないタイプです。

 金融資産だけ持っていて、人的資本も社会資本もないのは典型的な(独身)退職者です。その金融資産の大半は「年金」というかたちで国家に運用をアウトソースしています。日本社会の高齢化にともなって「年金不安」が重大な政治課題になっていくことがこの図からもわかります。

「退職者」の資本

 人的資本だけあって金融資産と社会資本がない若者は、最近は「ソロ充」と呼ばれているようです。彼らは結婚や子どもをつくることに興味を持たず、稼いだお金は自分の趣味などに使い、異性の知り合いはいても恋人のような深い関係にはなりません。

「ソロ充」の資本

 しかし若者でなくても、こういうひとはいます。

 典型的なのは「駆け出しの自営業者」で、彼らは人的資本はあっても事業が軌道に乗るまでは金融資産を蓄積できません。自営業者に社会資本(友だち)が乏しいのは、生活サイクルが一般のサラリーマンとはまったく異なるからです。「土日も仕事で水曜定休」とか、「午後から働いて帰宅は深夜」という生活をつづけていれば学生時代の友人たちからの誘いに応じることができず、早晩、友だち関係は切れてしまうでしょう。