珍しく現場に出て汗をかいた夜、Bさんは妻に言われた。

「あなた、汗臭くて、おじさん臭い」

 気をつけてはいたが、身内にはっきりと言われると辛かった。それから自分の汗の臭いがストレスになりはじめて、仕事に集中できなくなった。自分でトイレに駆け込みワキの下をタオルで拭いたりした。数ヵ月先に経営陣への大切なプレゼンが待っていたが、焦るほどに考えがまとまらない。ワキだけでなく、頭皮や耳の後ろまでおじさん臭いにおいを放っている気になる。夏より涼しくなってからのほうが、自分が臭いと感じるから不思議だった。

 汗と臭い、ストレスの関係に詳しい五味クリニックの五味院長は、こう語る。

「夏の暑いときにかく汗や運動したときにかくサラサラした汗は、においがそれほど気になりません。しかし、ストレスを強く感じたり、緊張したときにでる汗はにおいが強くなります。

 今年、「快適な環境」と「ストレスがかかる環境」で男性のワキのにおいを比較する実験をしました。汗の量には変化はほとんど見られませんでしたが、ストレスのかかる環境では、臭いが全員強くなるという結果がでました。

 ストレスがかかっていると汗のにおいだけでなく、加齢臭も強くなります。汗は暑い夏だけ気にする方が多いようですが、むしろこれからの季節に注意が必要です。においを放っている気がする方は制汗剤を上手に暮らしに取り入れるなどしてケアしてください」

取材を終えて

 私の主宰する財団法人 日本ヘルスケアニュートリケア研究所には、いろいろな健康課題が持ち込まれます。昨年は猛暑、今年は節電から、汗とにおいについても注目が集まっています。においの悩みはなかなか口に出せませんが、気になっている男性はかなり多いと実感しています。ただ、汗は体温調節上とても大切なものなので、運動したりしていい汗はどんどんかいていただきたいですね。

(医療ジャーナリスト J&Tプランニング 財団法人日本ヘルスケアニュートリケア研究所代表市川純子)