今月18日に共産党大会を控えた中国は、対外政策にも安定を追求していた。米中首脳会談は曖昧な譲歩で無難にこなし、北朝鮮問題では最近は微妙な情勢とはいえ、アメリカと協力する姿勢を示した。
一方、経済面では米国との関係はより太いものになっている。中国は外貨準備が世界一であったが、最近、日本を抜き米国債も世界一多く保有している。M&Aを始めとして 米国への投資も拡大している。また、米国は近年、シェールオイルの産出が増加し世界一の原油産出国になった。輸出を開始したが、その輸出先の第1位がすでに中国なのである。
今は米中が「政冷経熱」、中国が米国債保有1位に
今年の世界経済を牽引してきた米国と中国であるが、両国とも9月に“経済の山”を迎えるのは前回の本連載で解説した。
この両国は政治的には良い関係とはいえない。今年1月、トランプ大統領が就任し、4月にはフロリダで米中首脳会談を実施し、互いに曖昧な譲歩をして無難な関係をキープしている。今年に入って北朝鮮が挑発的にミサイル発射を繰り返しており、米国は北朝鮮問題の収拾への中国の協力と交換に、貿易赤字問題と恣意的な人民元の通貨制度については追及の手を緩めることとなった。
対北朝鮮問題に対しては、米国は韓国にTHAAD(終末高高度防衛ミサイル)を配備し対応を強化していた。米国が期待したほど、中国は北朝鮮に対し明確に厳しい姿勢取ってこなかったことから、政治的には関係がギクシャクし悪化しているように見える。しかし、米中両国の経済的な関係は逆に強化されている。