目的が違う
人間ドックと健康診断
あなたは人間ドックを受診したことがあるだろうか? 「健康診断で異常なしだったから大丈夫」などと言って、人間ドックを避けてはいないだろうか?
実は、健康診断と人間ドックを兼ねることはできない。これは、単に人間ドックのほうが健康診断よりも検査項目が多いというだけの違いではない。検査の内容も目的も異なるのだ。
健康診断は、自覚症状のない人が自身の健康状態を確認し、生活習慣病の予防や表面化していない病気を見つけるために行われる一般的な検査だ。対して人間ドックは、健康診断だけでは分からない病気の発見が目的となる。
人間ドックと健康診断の違いを詳しく知るため、まずは制度上の違いと検査内容の違いを整理してみよう。
●制度上の違い
健康診断は労働安全衛生法66条によって定められており、企業などの職場が実施し、労働者はこれを受けることが義務付けられている。検査費用は職場が負担する。その種類は、1年に1回の「一般健診」、生活習慣病の予防・早期発見を目的に40~74歳の人を対象に実施する「特定健康診査」、5大がん(胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がん)の早期発見を目的とする「対策型がん検診」がある。
対して、人間ドックには法的な義務はなく、個人の意志によって受診するものだ。検査施設によって異なる部分はあるが、一般健診や特定健康診査の内容に加えて、がん検診なども含めて行われる。個人が任意に検査施設と検査項目を選んで行うものなので、基本的に自費だが、費用を補助する職場もある。
●検査内容の違い
もっとも分かりやすい違いは検査項目の数だ。人間ドックの検査項目は国内共通の「基本検査」と「オプション検査」に大別される。人間ドックの基本検査で網羅する項目は、健康診断の一般健診や特定健康診査(メタボリックシンドロームの検査)よりも多いので、より精密な診断が受けられる。