プロフェッショナル・ブレインバンク代表取締役CEO 北村昌博 |
「ぶちーんとスイッチが入った」。プロフェッショナル・ブレインバンクCEOの北村昌博は、起業に至るまでに2回、頭のスイッチが入ったと振り返る。
1回目は、IT技術者の派遣に特化していたパソナソフトバンクから大手マーケティング会社に転職をした2000年。時代はITバブルの絶頂期だった。
前職のパソナソフトバンク時代の先輩社員を久しぶりに訪ねていくと、代表取締役の名刺を渡された。数人の社員を抱え、自分の力で仕事をつくり出していた。以前は同じ会社で働き、同じ仕事をしていた先輩とは思えない雰囲気を醸し出していた。
「なにかが違う――」。自分はというと、同僚と飲みに行けば仕事の愚痴と上司の悪口ばかり言っていた。「本当にこれでいいのだろうか。5年後、10年後もこうやって愚痴を言っているのだろうか」。北村の中にあるわだかまりは、日を追うごとに大きくなっていった。
先輩に相談すると「そんなにごちゃごちゃ言うなら、起業したらええ」という答えが返ってきた。周りを見渡せば、社会人経験が自分より少なく、しかも年下の若者が次々と起業し成功していた。「自分にもできるはずだ」と感じた。先輩の言葉と時代の勢いが北村のスイッチを入れ、わだかまりを起業への意欲へと変化させた。
「ITならなんとかなる」
なにも考えずに退職し暗中模索の1年半
北村はすぐに起業へ向けて会社を辞めた。だがそのときに思っていたことは「ITにかかわるビジネスモデルを考え出せばなんとかなる」ということだけ。特にITビジネスに詳しいわけでもなく、一般ユーザーレベルだった。まさに裸一貫で飛び出していた。
会社設立やそのための資金、人材など具体的な案はいっさいなく、「考えが甘いを通り越して大甘だった」という。