ビジネスパーソンが成長し続けるための鍵を握るのが、仕事上の経験である。全6回から構成される本シリーズは、「経験から学ぶ力」をさまざまな角度から掘り下げることを目的としている。
第1回目の本稿では、「なぜ経験から学ぶ力が必要になるのか」について考えたい。
経験が企業人の成長を決める
優れたマネジャーの経験を調査してきた米国の研究所によれば、ビジネスパーソンの学びの70%は自分の仕事経験、20%は他者の観察やアドバイス、10%は読書や研修によるという。要は、企業人として成長する決め手は、仕事上の経験なのだ。
では、どのような経験が人を成長させるのだろうか?
これまでの日米の研究によれば、企業のマネジャーを大きく成長させたのは次のような経験である。
◎会社に入ってはじめて就いた仕事
◎異動にともなう不慣れな仕事
◎はじめて部下をもった経験
◎プロジェクトに参加した経験
◎文化の違う海外に勤務した経験
◎つぶれそうな事業の立て直し
◎事業の新規立ち上げ
◎できない部下を育てた経験
◎扱いにくい上司とつきあった経験
これらの経験の内容を見ると、いままで手がけたことがない新規性の高い仕事や、高いレベルの知識やスキルが要求される仕事が人を成長させることがわかる。ちなみに、上記の経験カテゴリーは、日本と米国において差は見られない。つまり、人を成長させる経験に文化の差はないのだ。