ドン・キホーテホールディングスのビッグコンビニや小型店はなぜ出店に弾みがつかないのか――。主力の「ドン・キホーテ」や「MEGAドン・キホーテ」はいたって好調であり、28期連続増収増益の原動力となっている。最近ではユニー・ファミリーマートホールディングス傘下の総合スーパー(GMS)、ユニーにも資本参加を決め共同でGMS再生の乗り出すほどだ。しかし、そんな飛ぶ鳥を落とす勢いのドンキも、なぜか小型店はどれも数店止まり。店舗数が増えない理由は一体、どこにあるのか。(流通ジャーナリスト 森山真二)
コンビニ追討と小型店業に情熱
かつて「オリジン弁当」TOBも表明
「パワーコンビニ情熱空間は、既存のコンビニエンスストア追討業態である」――。かつてドンキの創業会長兼最高顧問の安田隆夫氏の発言は威勢がよかった。ドンキはかねて小型店業態に並々ならぬ情熱を燃やしていた。
ドンキの小型店の歴史を紐解いていこう。「情熱空間」は持ち帰り弁当店を併設し、コンビニの売り場の2~3倍はあろうかというスペースがある、いわゆる新型のコンビニだった。もう10年以上前の話でご存じない方も多いだろうが、1000店、2000店という多店舗化構想を打ち出していた。
当時このコンビニにはできたての総菜や弁当を提供する「中食厨房」という売り場を導入する計画で、そこで当時、順調に店舗を拡大していた「オリジン弁当」を運営するオリジン東秀に着目。ドンキはオリジンの株式を買い集め、TOB(株式の公開買い付け)を表明したが、これにオリジンの経営陣が反対。結局、イオンがホワイトナイトとして現れ、ドンキも保有していた株をイオンに売り渡すことでケリがつくなどの経緯もあった。
ドンキはその後、情熱空間に独自の弁当店を導入するなど数店舗を展開したが、多店舗展開までには至らず、現在はすべての店舗を閉鎖している。