ファミマとドンキの業務提携、
「業態が重複しない」は強み?
6月13日、コンビニのファミリーマートとディスカウントストアのドン・キホーテが業務提携を発表した。翌日の株価は両社とも上昇したが、ユニー・ファミリーマートホールディングスの株価が終値でも3.62%の上昇と高水準をキープしたのに対して、ドンキホーテホールディングスは11時頃からじりじりと値を下げ、終値は前日比1.75%の上昇にとどまった。
両社の提携は面白い。しかしメリットが大きいのはファミマの側であって、ドンキにはそこまで大きなメリットはないのではないか。そう消費者が覚えた違和感が、そのまま株価の差に表れたと思われる。
発表された両社の業務提携の検討範囲は広いが、大きくは4つの視点で協業すると宣言している。1つ目は店舗。共同で出店開発をしたり実験的な店舗運営を行ったりする。2つ目に商品の共同開発や仕入れ。3つ目が物流の合理化。そして4つ目が海外市場での新業態開発だ。
両社によれば、そもそもファミマとドンキは小売業の中で業態が重複しないので手を組みやすいということなのだが、論理的にそう説明されると「そうかも」と思う一方で、直感的にはファミマとドンキが一緒に何かをやるメリットは理解しづらい。左脳が「イエス」と言っていても、右脳が「ホワット?」と言っているような違和感がある。
違和感の正体を探るために、先に反論を展開してみよう。「コンビニに楽しさは必要ない」というのはセブン-イレブンの創業者・鈴木敏文前CEOの名言だ。
コンビニは顧客の利便性と高い生産性を狙う小売業態だ。顧客が深夜に訪れて、必要なものをさっと手に入れて帰っていく。コンビニの顧客の回転は早い。スーパーの経営にも同様の生産性視点が必要になる。生活に必要な商品をいかに高い生産性で提供するか。ユニー・ファミマの仕事に一番大切なのは生産性である。