これまで、自民党に政策の失敗やスキャンダルがあった時は、野党に投票したこともあった。実際、民主党政権は、中流の人たちが「自民党への批判票」を投じたことで誕生したのである。逆に、彼らが民主党政権の失敗に徹底的に失望し、安倍政権を「まだマシ」と考えたことが、現在の野党の低迷につながっているのだ。

政権交代に共産党との共闘が
必要、は「幻想」に過ぎない

 もし、野党がもう一度政権交代を実現したいならば、中流の人たちの票を獲得しなければならない。これが、筆者が民進党と共産党の「共闘」を徹底的に批判してきた理由である(2017.4.11付)。共産党との共闘は、民進党から財政再建、安全保障、憲法改正での政策の幅を狭め、中流の人たちが支持できるリアリティのある政策を打ち出せなくなってしまう。それは、民進党が共産党にシロアリのように食われていく「万年野党」への道である。

 実際、共産党との共闘は必要ないのである。政権交代実現のために共産党との共闘が必要だというのは、共産党支持者を中心とする左翼が振りまいた「幻想」でしかない。現に、1990年代前半の日本新党やさきがけの登場に始まる「政治改革」から、2009年の民主党政権誕生までの流れは、共産党の支持なしで実現している。繰り返すが、民主党政権は、「消極的保守支持者」である中流の「自民党への批判票」をうまく獲得することで実現したのだ。

 今、民進党、社民党、自由党の中に、共産党との共闘を訴える人がいるのは、中流の支持を獲得できず、党存亡の危機に陥ったからだ。中流の代わりに、共産党の組織票を得て、生き残りたいと考えざるを得なくなっていたからだ。

 しかし、今回の衆院選は、これまでとは状況が変わっているかもしれない。中流の「信頼」は、安倍首相から離れていると思われるからだ。そして、首相から離れた票の「受け皿」があれば、「一強」の安倍政権でも倒せることは、都知事選での小池百合子都知事率いる新しい政治勢力「都民ファースト」の圧勝、自民党の惨敗という結果が証明している(2017.7.4付)。

 もちろん、選挙での現実的な戦略を考える場合、野党候補が1つの選挙区に乱立する状況は避けなければならない。野党候補のできる限りの一本化は必要である。ただし、共産党との政策協調は必要ない。民進党などの候補がいる選挙区で、「共産党が候補者を降ろして、勝手に応援してくれるなら歓迎します」という強い姿勢で臨めばいい。

 共産党が候補者を出して、野党の同士討ちになって与党に負けたら、共産党にとってなんの得にもならない。政策協調などなくても、共産党は民進党についていかざるを得ない。もし、共産党が態度を硬化させて、候補者を出してくるならば、それでも構わない。その時は、民進党は共産党の支持者に対して「戦略的投票」を訴えたらいい。