グラフから読み解く
「外国人生活保護」の実態
外国人の生活保護は、政治的に話題となりやすい問題だ。衆院解散総選挙を来月に控え、これから大いに語られるであろう。今回は、外国人の生活保護の実態と制度の現状を紹介する。また最後に、今後何を解決するために何を考えて実行していくべきなのか、簡単に触れる。
まず、日本には何人の外国人がおり、そのうち何人が生活保護で暮らしているのだろう。総務省が2014年8月に公開した『生活保護に関する実態調査の報告書』を見ると、2002年(平成14年)から2012年(平成24年)の間、日本の外国人登録者数は、2008年のリーマンショック前後の変動はあるものの、おおむね増加し続けている。このグラフからは、リーマンショック後の外国人の減少は、主にブラジル人の減少によるものであることも読み取れる。
では、外国人の生活保護の状況は、どうなっているだろうか。2点目のグラフは、全体の保護率(日本人を含む)と外国人の保護率を比較したものだ。同報告書によれば、2002年から2011年の10年間で、全体の保護率(日本人を含む)が0.98%から1.62%へと増加しているのに対し、外国人保護率は2.1%から3.5%(外務省方式)、3.2%から5.3%(総務省方式)へと増加している。全体の保護率・外国人の保護率とも、増加率は1.6~1.7倍程度で変わらない。
本報告書には、国別のより詳細な検討が掲載されている。ちなみに、韓国・朝鮮籍の外国人登録者数と保護率を見ると、外国人登録者数は2006年(平成18年)~2011年(平成23年)にかけて減少しており、この期間の減少率は10%程度である。
このうち保護世帯は、高齢者世帯・その他世帯(世帯主が働けるとされる世帯)で著しい増加を示している。高齢者世帯の増加は日本人でも広く見られ、背景は現役時代の貧困だ。「その他世帯」の増加については、日本人の「その他世帯」と同様、「世帯主の年齢が高く就労が困難」「親の介護のため就労が困難」などの背景は考えられるが、総数が少ないため、安易な推測は慎みたい。