年間平均200日研修を行い、1年で5000人以上、28年間で14万人以上の人生を変えてきたカリスマ研修講師が明かす、コミュニケーションアップのコツ。最新刊『1日1分、30日で人生が変わる「話し方」「聴き方」の法則』から、抜粋して内容をご紹介します。
連載2日目の本日は、人と会話するには「姿勢」から、という少しびっくりするような話です。
心の状態がよくないと
体が縮まっている
1日目は、最初のステップとしてまずは自分をほめて、認めてあげましょうということをお話しました。コミュニケーションは、気持ち(心のエネルギー)のやりとりです。ですから、自分の心が良い状態でなければ、コミュニケーションはうまくいきません。
2日目は「背筋を伸ばして颯爽と歩く」です。
こんなことが、コミュニケーションと関係があるのか、といぶかしく思う人も居るでしょう。が、心と体はつながっています。心を良い状態にするには、まず体からです。
私は、企業への研修以外に、個人の方を対象にした、心理カウンセリングも長年おこなっています。性別に関係なく、さまざまなクライアントさんがやってきます。例えば、不登校になってしまった小学生の男の子が、部屋に入ってくるときの様子はどんなふうだと思いますか?
背筋をピンと伸ばして、明るく「おはようございます! 僕、不登校なんです」と挨拶すると思いますか? それができれば、不登校にはならないでしょう。ふつう、背筋を丸めて、視線もあわせずにのそのそと入ってきます。そして、うつむいたまま黙って椅子に座ります。
そんなカウンセリングでの最初の目標は「背筋を伸ばすこと」です。
私は、相手の存在を丸ごと包み込む心と態度で、向かいあって座り、黙っています。
「攻撃しないよ」というメッセージを言葉ではなく、態度で表すのです。
しばらくすると、その不登校の子はチラチラとこちらの様子をうかがうようになります。機が熟したら、「おばちゃんの顔、見ることできるかな」、「お背中、もっと伸びるよね」と声をかけて、ちょっとずつ、ちょっとずつ体を変化させていくのです。
背筋が伸びるようになったら、「今日は、そこの柱まで、一緒に歩いていこうか」と、足を上げて元気よく歩くよう促します。それができたら次は外に出て、ちょっと先の通りまで歩いてみる。
だんだん距離を延ばし、最終的には学校まで歩いて行けるようになります。そして、今度は保健室まで。保健室に行けるようになったら、いよいよ教室です。そうして少しずつ段階を踏んで、その子は不登校を克服することができたのです。