原油高騰でもサーチャージを値上げしないJALとANAに「さすが!」とぬか喜びする人が知らない事実豪州カンタス航空は燃料費上昇を速やかに運賃に反映させた Photo by Koji Kitajima

中東情勢の悪化と原油価格の高騰に伴い、各国の航空会社が相次いで値上げしている。しかし、ANAとJALは直近の発表において、燃油サーチャージを据え置いた。喜んだ人もいるかもしれないが、早合点は良くない。コロナ禍から浮上したエアラインを再び低空飛行させる深刻な事態とは。(航空ジャーナリスト 北島幸司)

航空チケットが爆上がりラッシュの衝撃

 イラン戦争の影響で航空業界が混乱に陥っている。中東の空域が遮断された影響で、大幅な欠航や運休を余儀なくされた航空会社も多い。そして原油価格が急騰する今、「第二波」が襲い掛かっている。大幅な値上げラッシュだ。

 供給量が大幅に減った結果、あるいは欧州~アジア・オセアニアで中東上空を迂回するルートを取り始めた結果、遠回りな南アジアルートに需要が集中し、運賃が異常な水準に達しているのだ。例えば、ロンドン発シンガポール行きのエコノミークラスが通常の数倍となるケースや、シドニー発ロンドン行きのビジネスクラスが異常に高い価格で販売されている。

 何より影響が甚大なのが、燃料コストの急騰だ。原油の国際指標である米NY原油先物市場は1バレル=100ドルの大台を超えた。これを受けて航空各社は続々と運賃値上げに動いている。下記の表にまとめた。

 日本人利用も多い香港のキャセイパシフィック航空は、燃油サーチャージを約2倍に引き上げる。豪州カンタス航空は、燃料費がこの2週間で150%も上がったことを明らかにし、国際線で平均5%値上げする。米ユナイテッド航空のCEOも、運賃は「すぐにでも上昇するだろう」との見解を示したという。

 また、ニュージーランド航空は燃料高を受けて値上げもするが、約1100便の国内線を中心に欠航も決定。約4万4000人の乗客に影響が出る見込みだ。

なぜANAとJALは燃油サーチャージ据え置いた?

 こうした世界的な荒波の中で、ANAとJALは直近の発表において、4月~5月発券分の燃油サーチャージを前期間(2月~3月)から据え置く決定を下した。「さすがANAとJALはユーザーフレンドリーだ!」などと喜んだ人もいるかもしれない。しかし、それはぬか喜びかもしれない。