サラリーマンでありながら海外の映画祭でグランプリを受賞した長久允氏。その思考法と脚本術を存分に伝える『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』が発売となりました。佐久間宣行さん、ラランド・サーヤさんも大絶賛する同書について、長久氏へのインタビューも交えて深堀りします。(聞き手・文/飯室佐世子

脚本の教室Photo: Adobe Stock

感情を腐らせないために「感じたらすぐ言う」

 会議の場で「ちょっとおかしいな」と思っても、「今言ったら空気が悪くなるかも」と違和感を飲み込んでしまうことはないでしょうか。

 しかし、組織の中で働く以上、自分の中にある怒りや違和感をそのまま爆発させるわけにはいきません。

 では、感情を腐らせないためにどうすればいいのか。長久氏が実践しているのが「感じたら、すぐ言う」ことです。

長久允:違和感を消すように嘘をつくのがきついと実感してからは、思ったことは、その場ですぐ言うようにしていました。

「~~というお話には違和感があるのですが、どうですか?」と。

 相手を断罪したいわけではなくて、たとえば仕事なら「良いプロジェクトを作る」という共通の目的があるので、ズレている歯車を合わせに行く作業なんです。

「今言ったら空気が悪くなるかも」と飲み込んで熟成させた違和感は、やがて自分の中で毒になります。しかし、その場で「これ、変じゃないですか?」とフラットに伝えれば、それは業務改善の提案に変わります。

 遠慮というコストを捨て、違和感を即出しすることが、結果的に良いプロジェクトへとつながるのです。

スマホを「タイムカプセル」にする。
妄想を混ぜて飛躍させる思考法

 しかし、その場ですぐに解決できない巨大な違和感はどうすればいいのでしょうか。

 長久氏は、日常の気になることや違和感をスマホにメモし続けているといいます。

 それは単なる日記ではなく、未来の自分のためのタイムカプセルだと話します。

 このタイムカプセルの中身を昇華する方法として、自身の仕事の企画のタネにするもよし、長久氏のおすすめは、「脚本を書くこと」だそうです。

 長久氏は、脚本は誰にでも書けると語り、その種となるものこそ、違和感だと話します。

 もちろん、事実(取材・経験)を脚本にするというのは難しいこと。そこでおすすめなのが、タイムカプセルに書き記した違和感に妄想を掛け合わせることです。

現実にないことをどんどん膨らませましょう。車が爆発する。妻が夫を殺す。死んだ人が生き返る。時間が巻き戻ったら。妄想の中では犯罪行為はありません。
妄想は「勇気」とも言い換えられます。
モラルだけは小脇に抱えて、現実から遠く遠くと思いっきり走っていきましょう。どこまで離れても、誰も怒りません。


――『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』P.72より

 妄想の中では犯罪行為にはなりません。脳内だけはコンプライアンスから自由になり、非常識な妄想を5割混ぜることで、企画やアイデアは唯一無二のものへと飛躍します。

(本稿は、『あなたにしか作れないけれど、世界に通用してしまう 脚本の教室』の発売を記念したオリジナル記事です)