副業の業務領域の
習熟度も関係する

 第三に業務領域についての習熟度が高いかどうかもポイントである。その領域について土地勘があるか、そこそこの習熟度か、ほとんどゼロから教えてもらわなくてはだめなのか、といったことである。いまは無関係でも、以前にかなり深く関わったことがあって、昔とった杵柄といえるような領域であれば、少しの勉強で習熟度を上げることもできるだろう。

 習熟度が低いなら、ひたすら学習しなければならない。単なる名前貸しの顧問ならいいが、重職であればたとえ組織やサポートメンバーが優秀であっても、自分の頭で考え、自分で意思決定をしなければ、結局は機能しない。少なくとも自分で評価基準が導け、実際に評価できるくらいでなければ、まともな兼職とはいえない。そして、その習熟には一定の時間が必要だ。少なくとも一サイクルを経験しないと習熟したとは言えない。

 以上の3つの確認点を踏まえて、具体的な例を考えてみよう。

大企業の部長とベンチャー取締役、
都知事と政党党首は?

 老舗の大企業の部長職(本業)とイケイケベンチャーの取締役の仕事(副業)といった取り合わせはどうだろうか。

 まず、本業は大企業に勤めているので安定性は高い(としよう)。組織力はバッチリで自分は意志決定だけすればよい。部長にまで上り詰めるくらいなので仕事の習熟度は高い。よって総合的に安定性はまずまず高い。とはいえ、昔のように「よきにはからえ」で済むというわけではなく、環境の変化には絶えず注意して対応する必要はある。

 一方ベンチャーの仕事は環境が不安定で仕事に独立性がない。組織力はまだなく、メンバーも育っていない。領域の習熟度に関しては、最初はその業界に土地勘があったとしても、ベンチャーを取り巻く環境はめまぐるしく変わっており、持ち合わせの知識はすぐ時代遅れになってしまう。こう見てくると、総合的に大変負荷が高い。最初の図でいえばI (ベンチャー)とII(大企業)であり、優秀でやる気があればもしかしたら可能かもしれないが、どちらの仕事も中途半端に終わるリスクは大きい。