また、高スコアのユーザー限定の合コンが開催されたり、結婚や就職などにも影響したりと、人々の生活や多くのサービスに溶け込み始めている。

 シンクタンクである東短リサーチの加藤出社長によれば、「芝麻信用のスコアは中国人の日常行動を変えるという観測すらある」という。評価項目の中には「素行」があるため、点数アップのために「品行方正な人物」を演じるのではないかというわけだ。

 また、体制批判をする友人がいれば「人脈」の評価が下がってスコアダウンしてしまうため、監視社会の様相を呈する側面も否めない。

 こうした状況を踏まえて加藤社長は、英作家ジョージ・オーウェル氏が独裁国家を描いた風刺小説『1984年』を引き合いに出し、「人間の価値がIT企業に管理されているようで、薄気味悪さを感じてしまう」と語る。

テクノロジーとリアルが
交われば議論が巻き起こる

 民泊仲介サイト「Airbnb(エアビーアンドビー)」や配車サービス「Uber(ウーバー)」のように、テクノロジーの進歩によって生み出される新たなサービスの多くは、高い利便性と同時に、既存の常識や産業に破壊的なインパクトを与え、議論を巻き起こしてきた。

 ジェイスコアの大森社長によれば、「信用力」というデリケートとも思われるスコアの画像を「ソーシャルメディア上で公開しているユーザーが思ったよりも多い」という。そして、その理由を「日本人は学生のころから学力偏差値というスコアに慣れ親しんできたから、受け入れやすいのかもしれない」(大森社長)とみている。

 日本でも、米国や中国のような「信用力スコアの社会インフラ化」が本格的に実現するか。それが学力偏差値を超えるほどに日本の社会やサービスに溶け込むか。この1~2年が運命の分かれ道となるかもしれない。