日本に来ると、最初に財布を買いたがる中国人観光客が増えているそうだ。
中国では、電子商取引(EC)大手のアリババ集団が提供するアリペイや、IT大手のテンセントが提供するウィーチャットペイといったスマートフォン決済が爆発的に普及しており、財布を持たない人が増加しているためだ。
先日、北京空港に降り立つと、中国のカード決済サービス最大手、中国銀聯の大きな広告が目についた。スマホの指紋認証と非接触型支払い機能を用いて同社のクレジットカードが安全・迅速に使える、という宣伝である。スマホ決済に流れたユーザーを取り戻したいようだが、容易ではなさそうだ。
小規模企業の経営者である中国人の友人は、特にウィーチャットが「便利で便利でしょうがない」と話していた。LINEのようなチャット機能やタクシーなどの配車、食事の出前、資金決済などを含む多目的アプリなので、これなしではもはや生活できないという。従業員の給料も、激励や叱咤のメッセージを添えて、ウィーチャットで支払っているそうだ。
ここ数カ月、テンセントと米アップルの間に対立が生じた。ウィーチャットでユーザーが支払う「チップ」というお金の動きにアップルが課金しようとするも、テンセントが猛反発したのだ。