CVCは事業か人か?
どちらかがものになればいい

平井 同質化の罠を逃れるには外の血を入れる必要があるとおっしゃいましたが、日本ではオープン・イノベーションでなかなか成功といえるケースが少ないように見受けられます。なぜだと思います?

岡島 オープン・イノベーションをやろうと言って座組みを設定するだけでは無理なんですよね。さきほど社長の話で出た「パラノイア」的になにか強い信念やアイデアがある人にお金をつけて導いてもらうとか、とにかく突破できる人にやらせるしかない。それから戦略投資ですから、たとえ事業がうまくいかなくても、「アクハイアー」(獲得acquireと雇用hireをかけた合成語。人材獲得を目的とした買収のこと)で優秀な人材を迎え入れるというのもよい方法だと思います。

平井 BCGDVにも、新たに共同プロジェクトを開始すると、協業パートナーである大企業の中堅社員が、武者修行に来ます。企業にとっては誰を選んで送るかというところで、もう後継者育成のジャーニーが始まっているのですが、ここでの経験を血肉にして、自分自身で事業を変える、先導するといった形で身につけて帰っていってほしいと思っています。

 ここで重要なのは、双方共にどれくらい本気か、ちゃんとオーナーシップを持ってやり切る人がいるのか、それを最後まで応援する覚悟のあるスポンサーがいるのかということ。最後はこうしたセットアップと人が決め手になると思います。先ほどおっしゃったアクハイアーに関して言えば、伊藤忠やKDDIなど、いくつか元気な事例も見受けられますね。

岡島 無意識のバイアスを外せる人、常識の罠にはまらない人でなければイノベーションは起こせません。そんな人に善意の失敗を許すカルチャーがあって、トップがコミットメントしてお金を出す。そして、社内にも異なる視点を受容する文化をつくる。CVCにしても新規事業にしても、人を活かすことができるか、事業が育つか。どちらかできれば成功ですよ。

デジタル・ネイティブでない
中高年は100歳までどう生きるか

平井 活きのいい人たちにはどんどん活躍していってほしい一方でデジタル・ネイティブではない40代から60代の人にとってこれから相当厳しい時代になるのは確実で、不安な人が多いと思うのです。その人たちは今後どうすればいいのでしょうか。

岡島 まさにリンダ・グラットンが言う「ライフ・シフト」の時代で、寿命が百年あるいまの時代、職業寿命60年の時代に、人はどう生きるべきか。これはもうリカレント教育、再教育以外にないと思います。中高年は学び直してスキルセットを上げる、マネジメントスタイルを変える。そしてもうひとつ大切なのは何を幸せと感じるか、自分のものさしを持つことです。もちろん全員が社長になる必要もないし、仕事が好きなら第二の職場を探し、そこで力を発揮できるようにいまから学び直せばいい。引退して海外で暮らしたっていいし、趣味に生きるならそれもいい。

 いちばん怖いのは、65歳で退職して、年金も仕事もなく、ほかにしたいこともなく、寿命だけは30年のびてしまったという場合です。会社での人間関係しかないと、会社をやめて生きがいがないばかりか、人とのつながりさえもなくてつらいそうです。