第三のカテゴリーは、今年のノーベル経済学賞を受賞したリチャード・セイラーのような、投資の世界の理論家・研究者だ。

 このカテゴリーには、ハリー・マコーヴィッツ、ウィリアム・シャープ、マイロン・ショールズ、ダニエル・カーネマン、ロバート・シラーなど、意外に多くのノーベル賞受賞者がいる。それぞれの受賞者の業績の軽重には様々な評価があるとしても、実務家の世界と同等、あるいはそれ以上に日本人が食い込むことが難しそうなカテゴリーだ。

誰が一番偉いのか

 さて、凡人(筆者を含む)が偉人を「評価」するのはそもそも無理だし、僭越でもあるのだが、投資の世界で「最も偉い人」を選ぶとすると、誰を選ぶべきか。

 筆者が選ぶ、投資の偉人ナンバーワンは、ジョン・C・ボーグルだ。次点に、ウォーレン・バフェットを選びたい。

 ロビンズの本にも紹介されているが、ボーグルがインデックスファンドを作るに至ったのは、必ずしも本人にとって幸せな経緯から生じたものではなく「たまたま」だったのだが、彼はこの世界を突き詰めた。

 その結果、多くの投資家が、有利で分かりやすい運用を(アクティブ運用よりもインデックス運用の方が平均的な成績がいい)、圧倒的に安価な手数料で利用できるようになった。投資家への貢献の点で、ボーグルは他の「投資の偉人」を圧倒していると筆者は考える。

 ヴァンガード社、およびヴァンガード社の競争相手たちが運用する安価な手数料のインデックスファンド(ETFを含む)は、それがなかった場合との比較を想像すると、控えめに見ても年間数兆円単位のメリットを投資家にもたらしているように思える。

 ボーグルは、インデックスファンドに加えて、ファンド自身がファンドの運営会社を所有して、運用資産の拡大に伴って運用手数料を下げることができる「純粋に投資家本位のファンド」の仕組みをビジネスモデルとして作り上げた。インデックスファンドを扱う業者は他にもあるが(米国には他に2社あって、インデックスファンドは3社の寡占状態だ)、ヴァンガードの仕組みにはアドバンテージがある。