AI(人工知能)、ゲノム編集、自動運転、フィンテック、IoT……世間をにぎわす最先端のトレンドは、すでに十何年も前から姿を見せていた。スマートフォンもしかり。1997年、東京・秋葉原で、著者エイミー・ウェブは、やがて大きなうねりとなる「シグナル」をたしかに聞いた――。
あらゆる予兆は、今この瞬間、どこかに現れている! 次なる「主流“X”」の見抜き方とは? その秘訣の一部を、『シグナル:未来学者が教える予測の技術』から無料公開する。
未来学者。その研究成果は『ニューヨーク・タイムズ』『ハーバード・ビジネス・レビュー』『ウォール・ストリート・ジャーナル』『フォーチュン』『ファストカンパニー』などの主要メディアに掲載される。コロンビア大学でメディアの未来の講師を務め、ハーバード大学のビジティング・ニーマン・フェロー(2014-2015)。日本語検定二級をもつ親日家。
© Mary Gardella Photography
AI(人工知能)、ゲノム編集、自動運転、フィンテック、IoT……このところ、最先端テクノロジーとそれらが及ぼす影響が、話題にならない日はありません。「人間の仕事が機械に奪われる」「旧態依然とした業界は早晩つぶれる」など、不安をあおられることもしょっちゅうです。
もし、未来を予測できたなら――
そう考えたことのある人は少なくないでしょう。かといって、「●●の大予言」的な放談を、なんの疑いなく受け止めるには、かなり心もとないものがあります。
欧米では「未来学」(futurology)なる学問分野があり、きちんとしたデータと分析をもとに、将来起こりうるシナリオを提示しています。
本書は、ハーバード大学やコロンビア大学で教鞭を取り、未来学者として注目を集めてきたエイミー・ウェブ氏の、日本では初の著作となります。
ウェブ氏が示すのは、「これからこうなる」という予言ではありません。そういうものは、たいてい発言者の恣意的な意見であったり、近視眼的すぎてすぐに陳腐化してしまったりすることも多いからです。そうではなく、未来学者がどのように情報を集め、仮説を立てていくかという、「手の内」を明かしてくれるのです。
ニュースで話題となった事柄から誰かのツイートまで、いま世の中に出ている大小さまざまな兆し(シグナル)が、やがてつながり、大きなうねりとなり、次の主流となる――。そんな流れをどのように見抜き、シナリオを描いていくか。そのプロセスを「6つのステップ」で具体的に説明しています。
しかも、事例が豊富でわかりやすいのです。どうしてブラックベリー社はスマホ時代の到来を見抜けなかったのか(後から言うのは簡単だけど、当時予測できた人はどれぐらいいたでしょう)。シリコンバレーのブームのうち、何が本物で何が一過性の偽物なのか。
グーグルの野望とは? ウーバーブームの本当の意味は? クローン羊ドリーの大騒動から急速に進むバイオブームの先に、いったい起きるのか……。
ウェブ氏のテンポの良い語り口で、「点と点がつながっていく醍醐味」を味わうことができます。
そのうえ、著者は大の日本通(日本語検定2級も持っています)。物語は、1997年の東京・秋葉原からスタートします。(そう、かつては日本が、世界のモバイルシーンを牽引していた時代もありました)。ソニーや任天堂ほか、日本企業の例も随所に登場します。
本書で紹介するステップを身に付ければ、未来を読み解くヒントがきっと見えてくるはずです。
次回より、一部内容をご紹介します。
<第2回につづく>