来年度の医療費の改定に向けて、厚生労働省での議論が本格化してきた。
病院や診療所に支払われる医療の価格は「診療報酬」と呼ばれており、2年に1回、その時々に必要な医療体制、物価や賃金水準などを考慮しながら改定されている。2018年度は、この診療報酬と同時に介護報酬も改定される。さらに、第7次医療計画と第7期介護保険事業計画など重要な制度改正も始まるため、「惑星直列」と呼ばれており、その先行きに注目が集まっている。
この一連の見直しのなかで、医療費関連の議題のひとつに上がっているのが、「かかりつけ医以外の受診に対する定額負担」だ。
医療機関の機能分化を進めるために、国民にかかりつけ医を決めさせて、それ以外の医療機関を個人の都合で受診した場合は、通常の医療費の自己負担分に加えて一定額を徴収するといった案が出ているのだ。
医療機関の機能分化のための費用負担については、前回(2016年度)の診療報酬改定で、紹介状なしで大病院を受診した患者から特別料金を徴収することを病院に義務づけたばかりだ。
新たな負担を患者に求めようというなら、過去に導入した制度に効果があったのかどうか知りたいところだ。
実際、2016年度の中医協の答申書の付帯意見に、「紹介状なしの大病院受診時の定額負担の導入の影響を調査・検証し、外来医療の機能分化・連携の推進について引き続き検討すること」がつけられていた。
この付帯意見にしたがい、厚生労働省では「平成28年度診療報酬改定の結果検証にかかる特別調査」を行い、報告書を出している。そこで、今回はこの報告書から、紹介状なしの大病院受診の定額負担の導入が患者の受診行動にどの程度の影響を与えたのかを見ていきたい。