タレコミ情報や流出写真をお金で買うことは一切ない

田端 新谷さんの指揮の下でぶっ放した文春砲の代表例としては、どんなものが挙げられますか?

新谷学(しんたに・まなぶ)/1964年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業。89年に文藝春秋に入社し、「Number」「マルコポーロ」編集部、「週刊文春」記者・デスク、月刊「文藝春秋」編集部、ノンフィクション局第一部長などを経て、2012年より「週刊文春」編集長。

新谷 私が編集長になってからの代表的なスクープは、最初に完売したのが小沢一郎さんの妻からの離縁状。それから、原辰徳元巨人軍監督が1億円を暴力団員に払っていたという記事に、偽ベートーベンこと佐村河内氏、あるいはシャブ&アスカ、ゲス川谷&ベッキー、甘利元特命担当大臣の金銭授受疑惑、元少年A直撃、舛添元都知事の「ゆったり、たっぷり、の~んびり」旅行といったところでしょうか。2017年に入ってからも、前川前文科次官の独占告白、下村元文科大臣の加計学園からの闇献金疑惑、松居一代さんの離婚騒動、そして渡辺謙さん、斎藤由貴さん、山尾志桜里さんの不倫などがあります。

 ただぜひこの機会に申し上げたいのは、「週刊文春」は不倫ばかり追いかけているわけではないということです。不倫ネタはネットニュースやテレビのワイドシーョーで拡散しやすいので誤解してしまう方がいるのかもしれません。

田端 ご著書にも書いていましたが、僕が素朴にびっくりしたのは、タレコミ情報や流出写真などをお金で買うということが一切ないという話ですね。

新谷 情報提供者の口から「いくらで買ってくれますか?」という言葉が出たら、「ウチは情報をお金では買いません」と答えています。ただし、提供された情報をもとに記事が作成された場合には、相応の情報提供謝礼か、原稿料に準ずる形式の謝礼は支払っています。当然ながら、法外な金額ではなく、あくまで常識の範囲ですよ。何百万円とかいった金額で情報を買っている状況を想像する人もいますけど、ありえないことですね。

田端 正直なところ、その辺はもうちょっと気前よく謝礼を支払ってもいいのではないかと思ったりしますね。売れている雑誌はその余裕があるから、さらにスクープをキャッチできて、勝ち組がさらに強くなっていく。そして、取材費に充てられる予算もいっそう潤沢になっていくという好循環になる。

新谷 取材費についてはケチらずに使っていますけどね。

田端 まあ、最初からお金目当ての情報ばかりが殺到するようになると、ガセネタをつかまさされるリスクも高くなるという側面もありそうですね。

新谷 最初からお金目当ての人は少しでも高く情報を買ってもらうために、話を盛って事実をねじ曲げたり、データを改竄したりすることもある。小出恵介さんの17歳少女との淫行事件の際も、最初に少女から連絡が来たのはウチですが、彼女がお小遣いを欲しがっていたことや、被害感情が薄い印象だったので慎重に背後関係を調べていたら他誌に先に出た。それでも安易なマネーゲームに陥るよりはいいと私は思っています。

田端 そうやって、あくまで第三者的な視点からガチンコ勝負でスクープを追いかけているということですね。馴れ合いの報道が目立つだけに、そのような緊張感の中でスクープを追いかけているのは、絶対にいいことだと思います。