去る5月25日、米国で最も歴史ある大学、ハーバード大学で卒業式が行われた。異例だったのは、招待された講演者の年齢が、卒業する学生と10歳ほどしか離れていないことだった。
講演者の名は、マーク・ザッカーバーグ(33歳)。世界中で20億人が使う米フェイスブックの創業者でありCEOである。現在のフェイスブックの企業価値は40兆円以上あり、トヨタ自動車の3倍近い。そんな若き起業家が、大学を巣立った後に米国を引っ張っていくであろう約2000人の若きエリートたちを前に発した言葉は衝撃的だった。
それは、「大人」たちの価値観から決別し、1980年から2000年ごろまでに生まれた彼ら自身の世代──ミレニアル世代──の目的意識を醸成すべきだ、という宣言だった。大学には先輩の培ってきた価値観を継承していくかび臭いイメージがある。その最高学府の卒業式で彼は言い放ったのだ。
「(先輩たちがそうであったように)自分の目的を見つけるだけでは不十分だ。われわれ世代の挑戦は、皆がそれぞれ目的意識を持てるような世界をつくることにある」と。