先週から「ナゾの円安」のようになっていますが、12月にかけて、この流れは一段と広がるのでしょうか?

 私は、足元で77.80円近辺まで下がってきた120日移動平均線を完全に越えられるか、そして、欧米発のリスク回避が一段落するかの2つがカギだと見ています。

 この2つの条件をクリアできたなら、米ドル高・円安が進んで83円を目指すでしょうし、クリアできなければ、年末年始は米ドル安・円高となって波乱含みとなりかねません。

 私は前者のシナリオに期待しています。

リスク回避局面で、なぜ、安全資産の円は売られたか?

 まずは「資料1」で、米国株、NYダウの推移をご覧ください。これを見ると、10月に急反発したものの、11月に入ってから再び下落に転じていることがわかります。

 これは、この夏に広がった米国のリセッション(景気後退)懸念が沈静化し、今度は先行き楽観論が広がって、リスク回帰の動きとなっていたのが、悲観論再燃でリスク回避が再開したためです。

 それは、欧米の債務危機に対する懸念、とりわけ、欧州債務問題への不安によるものでした。

資料1

 一般的に、リスク回避局面では「安全資産」として円が買われやすく、円高になりやすいとされています。

 しかし、足元がリスク回避局面であるにもかかわらず、先週からジワジワと円安気味に推移しており、それが市場予想を超える動きとなっています。まるで、「ナゾの円安」の様相です。

 私は、この「ナゾの円安」の演出者の1人は、日本の銀行、邦銀だと思っています(「ドル/円が底堅くなってきた裏事情とは?『有事のドル高』が対円にも波及か」を参照)。

 金融市場の不透明感が強まってリスク回避が広がる中で、この間、米ドル資金を調達するコストが悪化したため、欧州の銀行などでは、外国為替市場で米ドルを調達するところが増えているようです。それが、邦銀でも行われるようになってきたということではないでしょうか?

 「資料2」は、欧州の銀行の米ドル資金調達コストを示すグラフです。これを見ると、2008年秋から2009年春に展開した「100年に一度の危機」に近いところまで悪化してきたことがわかるでしょう。

資料2

 リスク回避局面においては、米ドル高が進みやすくなります。これは「有事のドル高」と呼ばれており、その正体の1つが、銀行が外為市場で米ドルを買う動きです。

 それがこの間、対米ドルでのユーロ安とか、豪ドル安をもたらしてきた一因だったと思いますが、さらに、円売り・米ドル買いという形にもなってきたことで、「ナゾの円安」がもたらされたと見ているのです。

「ナゾの円安」から「ナゾ」が取れるために必要なことは?

 ただ、足元のリスク回避局面で「ナゾの円安」が一段と広がっていくかと言えば、それは微妙ではないでしょうか?

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