「燃える氷」と呼ばれ、「日本周辺に大量に存在する」と言われるのがメタンハイドレートだ。メタンハイドレートの生産技術の確立は、資源の少ない日本にとって純粋な国産エネルギー資源を開発・活用するという意味で期待が高い。その技術開発の現状と商業化の課題などについて取材し解説する。(ダイヤモンド・オンライン編集部 山本猛嗣)
「燃える氷」と呼ばれる
メタンハイドレート
ドライアイスを思わせるような白いシャーベット状の物質に、火を近づけるとパッと青白い炎が出て燃え始める――。テレビなどで、おなじみのメタンハイドレートの映像だ。
メタンハイドレート(以下、メタハイ)とは、天然ガスの主成分であるメタン分子が水分子のつくるかご状の構造に取り込まれた「氷状の物質」のことだ。火を近づけると燃えるのは、放出されたメタンガスが燃えるためであり、「燃える氷」とも呼ばれる。
資源エネルギー庁の資料によれば、メタハイ1立方メートルから取り出せるメタンガスは、約160立方メートルにも及ぶ。メタハイは深海の海底面下や永久凍土地帯など、低温で圧力が高い環境下で存在することがわかっており、日本の周辺海域にも大量に存在している。
このため、エネルギー自給率が7%(2015年度推定値)と低く、エネルギー資源の大半を輸入に頼っている日本にとっては、純国産エネルギー資源として期待されている。詳しくは後述するが、現在、この海底のメタハイからメタンガスの生産とエネルギー利用のための技術開発が進められているのだ。