規定中「特定資金」とは、「内外の金融秩序の混乱又は大規模な災害、テロリズム若しくは感染症等による被害に対処するために必要な資金であって政令で定めるもの」である(同法同条第4号)。

 危機対応業務は、日本公庫法に規定されていることからも分かる通り、一義的には日本公庫の業務であるが、直接実施するのではなく、日本公庫法に基づき主務大臣が指定した指定金融機関を通じて行われる。

 ところが、商工中金については、この指定手続きを経ずに、新たな政策金融機関体制発足の当初から指定を受けたものと見なして危機対応業務を行うことが可能となっている(公庫法附則第45条)。しかも、この指定は完全民営化後も続くこととされている。

 平成18年の政策金融改革に係る制度設計にも、「完全民営化機関については、その政策金融機関として培った経営資源等を有効活用する観点から、移行期においては、指定金融機関とみなすものとする。完全民営化後も原則として指定金融機関であることを継続するものとする。」と規定されている。

 株式会社商工中金法案が審議された平成19年の第166回国会(常会)の衆院経産委員会においても、完全民営化後の危機対応業務の取り扱いに関する三谷光男衆院議員(当時)の質問に対し、政府参考人の石毛中小企業庁長官(当時)は、「完全民営化後でございますけれども、制度設計の中で、完全民営化後も原則として指定機関であることを継続するものとするというふうにされておりまして、引き続き適切に危機対応業務を行えるものというふうに考えております」と答弁している。

 つまり、商工中金はこの先もずっと危機対応業務を行うことができる機関であり続けるというわけである。

危機対応業務は
斜に構えた見方をすれば「やりたい放題」!?

 ちなみに、民間銀行も手を上げて指定金融機関としての指定を受ければ危機対応業務を行うことは可能であるが、これまでに一例もない(その理由・背景については、商工中金の在り方検討会第二回会合では、体制整備の手間や手続負担が大きいこと等があるようであるとの説明がなされたが、正確なところは不明である)。

 加えて、危機対応の「危機」は、何をもって「危機」とするかは主務大臣の認定に係らしめられている。

 斜に構えた見方をすれば、“やりたい放題”であるともいえる。