電機大手のパナソニックが近く、銀行融資関連事業へ新規参入を果たす。知的財産関連業務を手掛ける子会社、パナソニックIPマネジメント(PIPM)がその実動部隊だ。
PIPMは、企業が持つ知財の価値を評価し、銀行が融資判断の際にそれを反映できるようにすることで、銀行から手数料を受け取る新規事業をもくろんでいる。
すでにPIPMはメガバンク1行、地方銀行2行とトライアルを実施。関係者によれば「銀行側の評価は上々」で、「いつでも正式スタートを切れる状況」(豊田秀夫・PIPM社長)だ。
銀行がお手上げ状態の、中小企業の知財評価を主に想定。評価書の提出は依頼から7日後を目標とし、「1カ月以上はざらにかかる」といわれる銀行の融資判断と比べてスピード重視だ。費用は数十万円程度に抑える。また、銀行との橋渡し役として、中小企業の資金繰りを支援する日本動産鑑定と手を組む。日本動産鑑定の森俊彦会長は「60超の会員金融機関を通じて全国の中小企業の知財を活性化できる」と期待する。
PIPMが評価する知財は、特許(技術)、意匠(デザイン)、商標(ブランド)の三つ。中小企業としては、銀行が知財を適切に評価してくれれば、融資枠の拡大や融資姿勢の柔軟化が期待できる。
しかも、PIPMの評価対象知財は電機分野にとどまらず、農畜産業なども含めた多分野への対応が可能だという。実際にトライアルでは、牛肉やホタテ貝、医療行為など評価対象は多岐にわたった。