ガバナンスとビジネスモデルの問題で
お茶を濁して幕引きを図ろうとする経産省

 ところが、一連の不祥事の原因を、商工中金も主務省(財務省、経済産業省、金融庁)も、(1)危機対応業務における内部統制の未整備と過度な業績プレッシャー、(2)危機対応業務の「武器」としての利用(他の金融機関に対する競争上優位性のある「武器」として認識・利用)、(3)不正行為を惹起した本部や経営陣の姿勢とコンプライアンス意識の低下、(4)ガバナンス体制の欠如、とし、政策金融機関としての商工中金そのものの在り方ではなく、組織のガバナンスや内部統制、そしてコンプライアンス等の職員の意識の問題に矮小化しようとしている。

 さらに、今回の一連の不祥事を受けて中小企業庁に設置された「商工中金の在り方検討会」は、11月17日を皮切りにこれまで2回開催されており、「年内」という短期間で結論を得ることとされている。

 同検討会は公開で行われており、筆者は2回とも傍聴しているが、議論を聞く限り、名称こそ「在り方」となっているものの、商工中金の根本的な在り方には切り込まずに、組織のガバナンスとビジネスモデルの「在り方」を変えていく方向で、この問題の幕引きを図ろうとしているようにしか見えない。

 それはとりもなおさず、これら二つの点を軸に議論が進められているからである。

 もし本当にその方向で結論づけられるようなことになれば、「解体的見直し」どころか商工中金は温存され、政策金融改革も後退することになりかねないだろう。

 むろん、政策金融改革が議論され、制度設計が決められた当時と社会経済の状況は変わっており、政策金融の在り方も当然変わってしかるべきである。

 しかし、それは不祥事、しかも今回のような規模の大きな不祥事を引き起こした機関にも当然当てはまるという話ではない。仮に当てはまるとしても、政策金融機関としての役割を果たすことができない組織として「整理や統廃合の対象にする」という意味においてであろう。

政策金融に求められるもの
時間をかけた丁寧な議論や検討が必要

 政策機関については、民業補完に徹するとの考え方の下、改革が進められてきた。

 そうした中で、平成15年に総務省が行った「政府金融機関等による公的資金の供給に関する政策評価」の指摘事項(意見)に示唆に富むものがあるので、ここで紹介しておこう。