やりたいことをやってちゃんと稼ぐ戦略とは？
ビジネスとおもしろさのマネジメント

本当のマトモを追求する

 僕らは、多数決で勝つものだけが残る世の中は好きじゃない。ランキングで売れるもの、つまり「好きな人が多いもの」を買うようにさらに誘導するのは、どこか違和感がある。また、某コンビニのようにそれぞれのカテゴリーで一番売れるものしか置かない店のやり方も、「買物の楽しみ」「選ぶ楽しみ」を奪われている気がして足が遠のいてしまう。

 それは確かに儲かるやり方なのかもしれない。でも「人をみんな同じだと考える、そうすると一番儲かる」という世の中は全然素敵じゃないと思うし、それをやっている人たちが一番ハッピーかというと、きっとそうではないと思う。

 ビジネスの種類にもよると思うけれど、一番儲かるのではなくても、二番目くらいに儲かるのでも、充実していい仕事をしている、豊かな価値を生みだしていると思えれば、ハッピーだし、うまくやっていけばその方が持続性があって、結局は市場価値もあるんじゃないだろうか。

 価値観に多様性がある方が、人として、マトモなことだと思う。均質になっていいものとよくないものがある。残さなければいけない多様性がある。東京Ｒ不動産では、微力ながらそれを守りたいというテーマがある。

 今の世の中のシステムは、まだまだ本当にマトモにはなっていないと思う。例えば、今の株式市場というのは環境に悪い面がある。短期的な利益拡大のために、地球を犠牲にすることを推奨する部分が多分にあるからだ。

 とはいえ、僕らは資本主義システムを否定するつもりはなく、あくまでバランスを取りながらコトを運んでいきたいし、世の価値観に一石を投じるメッセージを出していきたい。個人の生き方や基本的な価値観も、本当にマトモなあり方を考えてもいい時期に来ていると思う。

 すでに、贅沢であることや「上昇」すること自体の意味は確実に変わってきた。不動産や住宅だって、ただ豪華であることはもう本質的な価値はない。一方で安全性だけですべてを決めるのも、あまり豊かではない。

 会社も同様だ。規模成長を前提とした会社やビジネスのあり方も、もうマトモじゃなくなってしまった。時代によってマトモなあり方は違う。終身雇用も年功序列も、悪いのではなくて、時代の状況に合わないのだ。それでもかつてのやり方、働き方のままでいると、何かがおかしいことになる。

 転機である今、世の中には新しい「マトモなかたち」を追求する仕事が社会起業としてたくさん生まれてきている。それらは過去の価値観や仕組みの中では、お金になりにくいとか、主流でないとか、そういう見方をされることも多い。しかしそれは、人の頭や心の中の「価値観」が変わると位置づけは変わってしまうだろう。僕らのシゴトの未来の戦略は、そうした視点も組み込んだものになる。（最終回に続く）

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【連載の日程】
●第1回：理想の働き方は実現できるか？僕らはこうして会社を辞めた
●第2回：会社員とフリーランスの間となる新しい働き方「フリーエージェント」とは？
●第3回：フリーエージェントの組織は「良いとこ取り」。目指すはトータルフットボール！
●第4回：やりたいことをやってちゃんと稼ぐ戦略。ビジネスとおもしろさのマネジメント
●最終回：ビジョン・自由・旅・寿司・家族。どう生きたいかを優先する働き方の時代