インテリジェンスを作る
4つの段階

上田 情報分析官は政策とは一線を画していますし、直接進言する役目ではありません。政策決定者に二者一択を迫るものではなく、あくまで、意思決定者の政策や戦略的決定に役立つ情報を整理し、想定外の対応をできるだけしなくて済むようにするのが仕事です。

 首相なり、自衛隊のトップなり、その情報を使う「使用者」の意思決定の際の、不確実性を減らすことがインテリジェンスの目的です。だから国家であれビジネスであれ、「インテリジェンス」は必ず必要です。

 ところで、安全保障におけるインテリジェンスにはもう少し特別な意味合いがあります。いわば「組織化されたインテリジェンス」で、情報組織が一つの目的に沿って、インフォメーションを集め、そのインフォメーションを分析し、使用者に提供するための製品、プロダクトなのです。

秋山進氏 Photo:DOL

秋山 インフォメーションからインテリジェンスを作る過程を具体的に教えていただけますか。

上田 インテリジェンスサイクルといって、おおむね4つの段階からなります。

 第一段階は、政策決定者が知らなければならないこと、知りたいことを理解したり、明らかにすることです。これは、一般には情報要求、あるいは質問といいます。

 第二段階は、この質問を分解していくつかの項目に分けて、それに沿ってインフォメーションを収集します。

 第三段階は、集めたインフォメーションを整理したり、組み立てて、総合的なインテリジェンスを生成します。  

 第四段階は、そのインテリジェンスを使用者に提供することです。インテリジェンスといえるものは、最終的に使用者に提供されたもののみをいいます。

 情報分析官の仕事は「肉屋とパン屋が混ざったもの」というたとえもあります。質問や情報を細切れにしていく肉屋、そしてそれらをこねあげていくパン屋(笑)。その両方を日々こなしているわけです。