リーマンショックに端を発する世界的な金融危機が起きてから10年弱。その反省に基づいた再発防止策である国際的な金融規制の枠組みが、ようやく完成した。
12月7日、世界各国の銀行監督当局で構成されるバーゼル銀行監督委員会は、国際金融規制「バーゼル3」の最終合意に至った。
前回の金融危機で批判の対象となった「大き過ぎてつぶせない」問題を繰り返さないために、次の危機が起きても耐えられるだけの自己資本比率を国際的な金融機関に確保させることが新規制の主眼。
過激だった当初の検討案から「全体としてバランスが取れた内容」(金融庁)に落ち着き、規制対象となる3メガバンクグループは胸をなで下ろした。
ところが、規制対象外であるはずの一部地方銀行の株価が一時下落するなど、遠回しな思惑が市場を駆け巡った。その理由は、規制強化が決まった項目の中に、銀行の政策保有株、いわゆる持ち合い株があったからだ。
銀行の自己資本比率の算出には、分子に質の高い自己資本、分母に貸し倒れなど銀行ビジネスのさまざまなリスクを考慮して見積もる資産、リスクアセットを用いる。分母には持ち合い株も含まれ、これまで時価で扱ってきたが、今後はリスク算定比率を段階的に高め、2027年までに時価の2.5倍で算出することが決まった。