メガバンクが住宅ローンの“新商品”開発を検討し、地方銀行に対する“販売”をもくろんでいるという。あるメガバンク関係者が明かした。
ただ、その「もくろみ」には多くの疑問が浮かぶ。住宅ローンは「売る」ものではなく「貸す」ものであり、ターゲットが個人ではなく銀行という点も異例だ。
さらに、住宅ローン事業は金利引き下げ競争が招いた消耗戦によって、もうからなくなって久しい。大手銀行のホームページをのぞくと、変動金利で年0.6%台という地をはうような貸出金利の数字が躍っている。そこに“新商品”の投下が検討されているというのだから、謎は深まるばかりだ。
種明かしをすると、その“新商品”とは、住宅ローン融資で生じる貸出債権だ。債権に関する権利義務関係は銀行に残したまま、経済的なリスクとリターンを切り離して投資家に販売する、ローン・パーティシペーションと呼ばれる手法を想定しているという。
この発想には、近年メガバンクが注力している戦略と同じ狙いがある。自ら手掛けた融資案件を証券化や信託化によって金融商品に仕立て直し、他の金融機関や事業法人などの機関投資家に販売する、オリジネーション&ディストリビューションという戦略だ。