「ヒートアイランド現象」に
光触媒が有効?
真夏に開催される東京大会で最も懸念されている問題にヒートアイランド現象があります。
マラソンや自転車ロードレースなど屋外道路を利用した競技があるので、選手や観客の熱中症予防、ヒートアイランド現象の抑制策が欠かせません。
そこで、遮熱効果のある光触媒塗装技術、超親水性を活用した散水冷却システム(人工打ち水効果)などが活用される可能性も大いにあるでしょう。
2005年の日本国際博覧会(愛・地球博、愛知万博)の際にも、光触媒テントの上に水を流しているのがすずしいと来場者から好評を得ましたが、今回もさらに進めて活用したいものです
本大会をきっかけに光触媒を含めた環境技術に革新が起こり、先進的な「環境都市東京」ですばらしい競技を見ることができれば、次世代を担う子どもたちにとっても誇らしいオリンピックになるでしょう。
光触媒を発見して今年で50周年。いまや東海道・山陽新幹線の光触媒式空気清浄機、成田国際空港の光触媒テント、パナホームの一戸建てからクフ王の大ピラミッド、ルーブル美術館、国際宇宙ステーションまで、その活躍の場は多岐に及んでいます。
本書には、その基本から最新事例まで140点以上の図表と写真が掲載されています。ぜひご一読いただければと思います。
東京理科大学学長
1942年生まれ。1966年、横浜国立大学工学部卒。1971年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。1971年、神奈川大学工学部専任講師。1975年、東京大学工学部講師。1976~77年、テキサス大学オースチン校博士研究員。
1978年、東京大学工学部助教授。1986年、東京大学工学部教授。2003年、財団法人神奈川科学技術アカデミー理事長。2003年、東京大学名誉教授。2005年、東京大学特別栄誉教授。2010年、東京理科大学学長(現任)。現在、東京理科大学光触媒国際研究センター長、東京応化科学技術振興財団理事長、光機能材料研究会会長、吉林大学名誉教授、上海交通大学名誉教授、中国科学院大学名誉教授、北京大学客員教授、ヨーロッパアカデミー会員、中国工程院外国院士。これまで電気化学会会長、日本化学会会長、日本学術会議会員・化学委員会委員長などを歴任。
【おもな受賞歴】文化勲章(2017年)、トムソン・ロイター引用栄誉賞(2012年)、The Luigi Galvani Medal(2011年)、文化功労者(2010年)、神奈川文化賞(2006年)、恩賜発明賞(2006年)、日本国際賞(2004年)、日本学士院賞(2004年)産学官連携功労者表彰・内閣総理大臣賞(2004年)、紫綬褒章(2003年)、第1回The Gerischer Award(2003年)、日本化学賞可(2000年)、井上春成賞(1998年)、朝日賞(1983年)など。オリジナル論文(英文のみ)896編、著書(分担執筆、英文含む)約50編、総説・解説494編、特許310編。