気づけば昔と好みも過ごし方も変わっている――そんな自分に戸惑ったことはないだろうか。『人生は「気分」が10割』の著者、キム・ダスル氏の新刊『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した本稿では、ライターの柴田賢三氏に「人生後半戦の楽しみ方」についてのエッセイをご寄稿いただいた。(企画:ダイヤモンド社書籍編集局)
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「これでいい」が上手になる
私は今、五十代半ばだが、自分でもびっくりするほど“量産型おじさん”になっている。
アイドルグループの名前は知っていても、メンバーの顔と名前は一致しない。
ギラギラのネオンより、野山や小川といった自然が恋しい。
キャバクラに誘われたら断るが、スナックは居心地がいい。
あれほど好きだったラーメンより、蕎麦が食いたくなる。
気がつけば、受信料を払うのも嫌だったNHKばかりにチャンネルを合わせ、テレ東なら『昼めし旅』や『家、ついて行ってイイですか?』で善良な市民の暮らしぶりばかりを眺めている。
通勤や仕事で歩くのは苦痛だが、散歩は楽しい。
ところが、頭の中身は中高生時代から、さほど変わらない。
さすがに心配になり、10歳年上の先輩に聞けば「俺もそうだよ」と言うから、“これでいい”のだ。
平均寿命を基準に考えると、オリンピックやW杯はあと7~8回しか見ることができない。
でも、不思議なことに焦りもない。
誰よりも「今」を一番楽しむ
“人生の指標”となる言葉の数々を収録している本、『人生は期待ゼロがうまくいく』の中には「誰よりも『今』を一番楽しむ」という項目がある。
たとえば、旅行や本、映画。10代の時と30代の時では、同じものに触れても感じ方はまるで違う。心に響くメッセージも異なるはずだ。これこそ、今その時にしかない感性や視点が存在する証拠。今を見失ってしまえば、そうしたことにも気付けなくなるのだ。
――『人生は期待ゼロがうまくいく』(p.230~231)
著者のキム・ダスル氏は、こう続ける。
だから、今を見つめ、今を楽しみ、今を大切にすべきなのだ。ごちゃごちゃ考えていないで、動く。二度とは返らない今を生きよう。
――『人生は期待ゼロがうまくいく』(p.230~231)
大きな戦争に向かっているかのような不穏な世界情勢や物価高、われわれの世代はいつから年金がもらえるのか…といった不安は尽きないが、とりあえずは明日の蕎麦に入れる天ぷらを何にするかを考えながら布団に入ろう。
(本記事は『人生は期待ゼロがうまくいく』の発売を記念した書下ろしエッセイです)
大学卒業後、複数の出版社や不動産会社での社員を経てフリーライターとして独立。週刊誌、月刊誌、WEBメディアなどで記者、編集者を経験した。事件、芸能、スポーツ、サブカルチャーまで幅広く取材に携わり、のちに新聞やテレビでも大きな話題になったスクープをモノにしたこともある。





